認知言語学系研究室のイベント案内

2月7日 言語フォーラム

日時:2月7日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:佐藤亜弓 (谷口研究室 D3),佐藤雅也 (谷口研究室 D1)
タイトル:失語症者の呼称反応の認知言語学的分析ー抽象度の違いに着目してー
キーワード:失語症、抽象的態度の障害、プロトタイプ理論、カテゴリー化
概要:失語症の評価において物品や絵カードの呼称課題を施行した際に、うどんの絵を見て「すうどん」、電話の絵を見て「プッシュボタンの電話」というように、基本レベルカテゴリーよりも下位語での表出や具体的で冗長性のある表現がみられることがある。これらは神経心理学の分野において「抽象的態度の障害」(Goldstein 1948)という失語症の一症状として数々の報告がなされている。本発表では、神経心理学での先行研究を概観した上で、そのような具体的な表現の表出の背後で働く認知的なメカニズムについて認知言語学のプロトタイプ理論の枠組みで検討する。

 

・第二発表
発表者:田中悠介 (谷口研究室 D1)
タイトル:構文としてのかきまぜ
キーワード:かきまぜ、構文文法、コーパス、自由語順
概要:日本語における語順の違いにおいて、意味の違いは認められていない。しかし、語順の違いを構文の違いとして捉え直すならば、基本語順文とその語順を入れ替えた文(かきまぜ文)には意味的な違いが見られると予測される。本研究では、現代日本語書き言葉均衡コーパスからサンプリングした基本語順文(SOV)とかきまぜ文(OSV)のヲ格名詞句を意味的観点から分類した結果を報告する。

1月31日 言語フォーラム

日時:1月31日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:佐藤 雅也(谷口研究室 D1)
タイトル:「前提の照応的性質から presupposition accommodation を考える」
キーワード:anaphora、accommodation、presupposition、trigger
概要:Heim (1990) や Beck (2007) において、again などの前提トリガーが要求する命題が照応的であると論じられている。本発表では、前提を照応的な部分とそれをサポートする条件的な部分に分けた上で、照応性がaccommodation にどう関わっているのかについての考察を行う。

 

・第二発表
発表者:春日 悠生(谷口研究室 D1)
タイトル:「グライスの「非自然的意味」と「意図」をめぐる議論」
キーワード:Grice、非自然的意味、話し手の意味、意図
概要:本発表の目的は2つである。まず、(i) H. P. Grice (1957) Meaning. のレビューを中心に、Grice の非自然的意味 (non-natural meaning) における意図の重層構造を理解する。また、(ii) Grice が「意図」を話し手の意味の必要十分条件としたことに対する数点の批判をもとに、その妥当性について考察する。
(1月10日に行った発表の続きです。主に上の (ii) を行います。)

1月26日 言語コロキアム

日時:1月26日(土)13:30~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:北 雄介(京都大学デザイン学リーディング大学院)
タイトル:街歩きと都市の様相-空間情報付言語データと向き合う-
キーワード:様相、経路、時間、空間、人間
概要:我々は普段街を歩いているとき、どんなことを、どのようにして感じているのだろうか。本研究は、我々の街歩き体験を総合的に読み解く試みである。そのために被験者に実際に街を歩いてもらい、感じたこをを用紙に自由に記してもらうという一つの実験を行なった。そこで得られたのは、実際の都市空間という極めて豊穣なコンテクストをもつ「空間情報付言語データ」である。このデータを定量的・定性的に分析することで、街の雰囲気の在り方や、我々がそれを感じとるメカニズムに迫ることができた。発表者は普段、建築・都市や認知科学の分野での発表を続けている。今回は認知言語学の文脈のもと、特に空間情報付言語データのもつポテンシャルや、そのデータ取得・分析の方法論などにフォーカスして議論をしたいと考えている。

 

・第二発表
発表者:三阪日向(関西学院大学 文学研究科 博士課程前期)
タイトル:明暗を表すドイツ語の形容詞のメタファー拡張
キーワード:ドイツ語、明暗、メタファー拡張
概要:「明るい・暗い」のような視覚に関わる形容詞は、実際の視覚情報に関する描写だけではなく、場合によっては比喩的に用いられることもある。本発表では、ドイツ語の形容詞hell(明るい)とdunkel(暗い)を対象とし、それらが感情や知性の意味をはじめとするメタファー表現へと拡張するケースがあることをコーパスデータに基づいて指摘する。また、両形容詞のメタファー拡張に非対称性があることも指摘し、さらにその非対称性が何に起因するかを解明する。

1月24日 言語フォーラム

日時:1月24日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:関根雅晴(谷口研究室 M2)
タイトル:北海道方言 ”V-(r)asar- 構文” の意味と形式
キーワード:北海道方言、V-(r)asar- 構文、認知文法、行為連鎖
概要:本研究は、北海道方言における V-(r)asar- 構文について、認知文法の理論的枠組みを援用し分析を行ったものである。当該構文の従来研究では、他動詞から自動詞を派生させる「逆使役」としての側面に重きが置かれており、自動詞派生のラサル構文に関しては周辺的な事例としてほとんど扱われてこなかった。そこで本研究では、他動詞型のラサル構文を、因果的事態における結果事象をプロファイルするものとして特徴づけた氏家 (2016) を踏まえた上で、自動詞型のラサル構文を、外的な要因が作用することにより生じた事態における、変化状態をプロファイルする構文であると特徴づけた。さらに、上述の特徴づけを踏まえ、早津 (2016) による動詞分類を導入し、当該構文に用いられうる自動詞・他動詞について、その意味的特徴および生産性について検討を行った。そして、他動詞型と自動詞型の各々について複数の下位構文を設定するとともに、属性叙述をあらわす派生的な構文を認めることで、従来分類よりも詳細に捉えられることを示す。さらに、テンス・アスペクトとの関連からも当該構文を分析した。

 

・第二発表
発表者:佐藤嘉晃(谷口研究室 M2)
タイトル:従属接続詞asの多義構造ー共時的かつ通時的視点からー
キーワード:多義語、従属接続詞、as、認知文法、意味変化、歴史言語学
概要:英語の従属接続詞asは「様態」や「時」そして「理由」など、この他にも多くの用法を表すことができる、非常に多義的な語であることが一般に知られている。このような複雑な多義性のため、これまでの先行研究 (cf. 花崎 (2010)、河原 (2010))では従属接続詞asに対し、一貫的かつ適切な分析が与えられておらず、さらに用法間の意味的繋がりも不明瞭なままである。従って本研究では、従属接続詞asの多義性に対する一貫的な分析を認知文法のアプローチから(e.g. ドメイン、スコープなどの理論構築物を用いて)共時的に試み、また用法間の意味的繋がりの詳細を通時的に辿ることによって、それらの緊密なつながりを明らかにする。

1月17日 言語フォーラム

日時:1月17日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:石田 育子(谷口研究室 M2)
タイトル:日本語文法指導に対する認知言語学的アプローチ: 受身文・テモラウ文を統一的に説明する
キーワード:応用認知言語学、日本語受身文、テモラウ文
概要:日本語受身文、テモラウ文は、L2学習者にとって習得が困難な構文である。これらは通常、ほとんど関連のない構文として別個に指導されるが、「話者の視点の取り方」という点において共通点を持ち、さらに形式的な構造や意味的側面にも近似する点をもつ。そこで、本研究では、当該構文を一つのアプローチで指導することで学習者の負担を減らすことを将来的な目標として、認知言語学の枠組みのなかで二つの構文を統一的に説明することを目指す。具体的には、認知文法の道具立てであるステージ・モデルおよび行為連鎖モデルを採用し、当該構文が記述する事態概念の共通項を示す。

 

・第二発表
発表者:酒井啓史(谷口研究室 M2)
タイトル:英語の動詞wantの動名詞補文に関する語彙・構文アプローチ的研究
キーワード:語彙・構文アプローチ (Lexical- Constructional Approach), 動名詞補文, 構文の多義性
概要:英語の動詞 want (ここでは「必要」ではなく、「願望」の意味) は先行研究では、V-ing-補文を取ることはできないとされてきたが、実際にコーパスでは取る例がみられる。このことを動機付けるには、動詞wantとV-ing-補文の意味の両方を詳細にみる必要がある。すなわち、Goldberg (1995) の構文文法ではなく岩田 (2012) の語彙・構文アプローチ (Lexical-Constructional Approach) が有用であることを示す一例となる。