認知言語学系研究室のイベント案内

6月18日 言語フォーラム

時間: 6/18 (木) 13:00~ (Zoom開催)
発表者: 角出 凱紀  (谷口研M1)
タイトル: 語用論的な逸脱の修辞効果ー『不思議の国のアリス』を例に
キーワード: 協調の原理,破格構文,レトリック
要旨:修辞技法としての破格構文は伝統的に文法的な逸脱に限定されてきた。そこで、本研究の目的は修辞技法としての破格構文の定義を従来のものよりも広げて、文学研究への活用を探るものである。

*本発表はZoomで開催します。

6月11日 言語フォーラム

時間: 13:00~
発表者: 本澤 拓 (谷口研M1)
タイトル: 散文小説における作品特有の表現及び物語の展開の認知言語学的分析
要旨: 本論文では、日本の現代小説の『コンビニ人間』と『異類婚姻譚』の文学的表現と物語の展開を融合理論により分析する。融合理論はFauconnier and Turner(2002)で詳しく議論されている。本論文では融合という操作が無意識に行われているものであること、融合スペース内で創発構造を生み出す操作のうち「合成」だけでなく「完成」や「精緻化」も重要な役割を果たしていることを強調する。実際の分析に入る前に、文学作品の認知言語学的な研究で、文学的なメタファーに見られる特徴を分析したものを紹介する(Lakoff and Turner 1989,Semino 2008)。さらに、これらの特徴について融合理論による独自の分析を行う。どちらの作品の分析においても、読者はテクストからメンタルスペースを形成することで、語り手である主人公の世界観を理解していく。さらに融合スペース内での創発構造を生み出す操作を観察することで、メタファー表現にとどまらない小説特有の表現が解釈できる。またメンタルスペースの働きを観察することで、文学的表現だけでなく物語の展開についても解釈できる。本論文では作品の一部だけを抜き出して個別に分析するのではなく、作品全体として他の表現との関わりも考慮しながら解釈していく過程を記述した。
*本発表はZoomで開催します。

5月30日 京都言語学コロキアム (KLC)

時間: 5/30(土) 13:00~

発表者: 岡久 太郎 京都大学 人間・環境学研究科 特定研究員 (プロジェクト名: 共創的コミュニケーションのための言語進化学)

タイトル: 統語的曖昧文の産出・理解におけるパラ言語的情報の利用について

キーワード: 統語的曖昧文、韻律、ダウンステップ、ジェスチャー、第二言語学習者

要旨: 我々は日常のコミュニケーションにおいて、話し手が自身の意図を伝達するために、また、その意図を聞き手が理解するために、言語表現以外にも多様なモダリティにおける情報を利用している。本発表では、言語的には曖昧性を有する統語的曖昧文の産出・理解において、話し手と聞き手がどのようにパラ言語的情報を利用しているのかを明らかにすることを試みる。第一に、産出の側面については、発話の統語構造に対応した韻律的情報とジェスチャーに着目し、その両者が一つの発話に共存しうる付加的な情報であるのかを検討した。第二に、理解の側面については、ジェスチャーが共起する統語的曖昧文の発話が、発話のみに集中した発話と比べ、聞き手の理解のしやすさにどのような影響を与えるのかを検討した。さらに、第二言語学習者の言語理解においてはパラ言語的情報を有効に活用することが難しいという先行研究を参考に、日本語を第二言語話者として学習する香港在住の広東語母語話者がジェスチャーを伴った発話を正しく理解できるのかを実験的に検討した。
*本研究会はZoomにて開催いたします。

5月14日 言語フォーラム

日時:5月14日(木)13:00~

発表者: 田中悠介 (谷口研D3)

タイトル: Subjective and Objective Construal of the Japanese Benefactive Auxiliary Verb Kureru

要旨:The Japanese benefactive auxiliary verb kureru is used when the speaker benefits from either the subject of the embedded clause (Kim 2009) or the event described by the clause (Masuoka 1981; Nishikawa 1995; Yamahashi 1999). However, no agreement has been obtained regarding which of the two is the actual giver of the favor. The present study suggests that both the subject and the event can be the giver of the favor, depending on the way in which the speaker construes the event: subjective and objective construal (Ikegami 2008). When the speaker subjectively construes an event, they are inside the event and therefore pay attention not to the event but to the subject, which benefits them. By contrast, when the speaker objectively construes the event, they are outside the event so that they focus on the event as a whole, benefiting from it.

*コロナウイルスの感染防止のため、発表をzoomで実施します。

5月7日 言語フォーラム

日時:5月7日(木)13:00~

発表者: 樊 毓 (谷口研D1)近 大志 (谷口研D1)

タイトル:「意味論と語用論の連続性」についての検討 –認知言語学における意味論とは、何を扱っている/扱うべきなのか?–

要旨:本発表は認知言語学 (CL) のテーゼである「意味論と語用論の連続性」について考察する。その目的は、(i)参加者がCLの基本理念を再検討し (ii)CLが言語運用の解明に貢献できる部分について議論すること の2点にある。具体的には、以下のa-bを行う予定である。

(a)意味論と語用論の厳密な線引きが研究者の恣意性に基づく (cf. Langacker 2008) ことを念頭に置きつつ、CLの意味論における研究対象がConventional Unit (CU) に含まれる意味内容であると同定する
(b)語用論をCUとして定着していない意味を扱う分野だと捉えたうえで、CUを語用論の研究へ積極的に導入することの利点を挙げる

*コロナウイルスの感染防止のため、発表をzoomで実施します。