認知言語学系研究室のイベント案内

4月18日 言語フォーラム

日時:4月18日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:北原匠(谷口研究室M1)
タイトル:照応表現における構文の意味の役割―迂言的使役構文を中心に
キーワード:照応表現、参照点モデル、構文の意味、参照点・ターゲットの予測
概要: 参照点モデル(van Hoek 1997、Langacker 2008等)は、参照点である先行詞を基にターゲットである代名詞が理解され、そのターゲットが次の参照点へとダイナミックに変化していく過程を捉える学説となっている。その一方で、どの参与者がどのような要因によって参照点やターゲットとして選出されるのかについては、まだ詳しい説明がなされていない様に思われる。本発表では、あえて構造的に複雑かつ多義性の少ない迂言的使役構文(W CAUSE X TO MOVE Y TO Z)を通じて参照点モデルを考察することで、構文としての意味が参照点の移動に影響を与えていることを主張する。
 
・第二発表
発表者:朝本美波(谷口研究室M1)
タイトル: 時空間メタファーにおける写像の実在性について
キーワード:時空間メタファー、写像、先、ジェスチャー、視点
概要:これまで認知意味論において確立されてきた「時空間メタファー」では、時間の経過を捉える際に空間領域における二種類の異なる構造が時間領域に写像されていると言われており、一つは、静止している時間の中を主体が未来へと移動していくという構造が写像されたもの、もう一方は、主体は静止していてそこに時間的事象が未来から過去へ移動していくという構造が写像されたものである(cf. Lakoff and Johnson 1980)。しかし、この時間の経過の概念化方法の主張は、特に日本語においては言語表現の分析のみから行われることが多かった。そこで本論では、日本語の「先」が、上記の二つの時間の捉え方の両方が同時にでき、意味が曖昧になる用法に着目し、空間的刺激であるジェスチャーが、そのような「先」の解釈にどう影響するのかを検証することにより、時空間メタファーにおける写像の構造の心的表象としての実在性を実証することを試みる。

4月11日 言語フォーラム

日時:4月11日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:佐藤嘉晃(谷口研究室D1)・関根雅晴(谷口研究室D1)
タイトル:語の意味とは?:意味観の変遷とその比較
キーワード:記号論、認知文法、ネットワークモデル
概要:語が表す意味について、意味観の変遷を踏まえ議論する。発表の前半では、近代言語学から現在の認知言語学(認知文法)に至る語の意味に関する研究のうち、代表的な理論を複数取り上げ、それらを概観・比較検討する。後半では語の意味は概念である (Langacker 2008) という考えを採用し、ある語が表す概念とはどれほどの具体性を持っているものなのかについて、Lakoff (1987) やTyler and Evans (2003) などの先行研究をもとに考察する。

2月7日 言語フォーラム

日時:2月7日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:佐藤亜弓 (谷口研究室 D3),佐藤雅也 (谷口研究室 D1)
タイトル:失語症者の呼称反応の認知言語学的分析ー抽象度の違いに着目してー
キーワード:失語症、抽象的態度の障害、プロトタイプ理論、カテゴリー化
概要:失語症の評価において物品や絵カードの呼称課題を施行した際に、うどんの絵を見て「すうどん」、電話の絵を見て「プッシュボタンの電話」というように、基本レベルカテゴリーよりも下位語での表出や具体的で冗長性のある表現がみられることがある。これらは神経心理学の分野において「抽象的態度の障害」(Goldstein 1948)という失語症の一症状として数々の報告がなされている。本発表では、神経心理学での先行研究を概観した上で、そのような具体的な表現の表出の背後で働く認知的なメカニズムについて認知言語学のプロトタイプ理論の枠組みで検討する。

 

・第二発表
発表者:田中悠介 (谷口研究室 D1)
タイトル:構文としてのかきまぜ
キーワード:かきまぜ、構文文法、コーパス、自由語順
概要:日本語における語順の違いにおいて、意味の違いは認められていない。しかし、語順の違いを構文の違いとして捉え直すならば、基本語順文とその語順を入れ替えた文(かきまぜ文)には意味的な違いが見られると予測される。本研究では、現代日本語書き言葉均衡コーパスからサンプリングした基本語順文(SOV)とかきまぜ文(OSV)のヲ格名詞句を意味的観点から分類した結果を報告する。

1月31日 言語フォーラム

日時:1月31日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:佐藤 雅也(谷口研究室 D1)
タイトル:「前提の照応的性質から presupposition accommodation を考える」
キーワード:anaphora、accommodation、presupposition、trigger
概要:Heim (1990) や Beck (2007) において、again などの前提トリガーが要求する命題が照応的であると論じられている。本発表では、前提を照応的な部分とそれをサポートする条件的な部分に分けた上で、照応性がaccommodation にどう関わっているのかについての考察を行う。

 

・第二発表
発表者:春日 悠生(谷口研究室 D1)
タイトル:「グライスの「非自然的意味」と「意図」をめぐる議論」
キーワード:Grice、非自然的意味、話し手の意味、意図
概要:本発表の目的は2つである。まず、(i) H. P. Grice (1957) Meaning. のレビューを中心に、Grice の非自然的意味 (non-natural meaning) における意図の重層構造を理解する。また、(ii) Grice が「意図」を話し手の意味の必要十分条件としたことに対する数点の批判をもとに、その妥当性について考察する。
(1月10日に行った発表の続きです。主に上の (ii) を行います。)

1月26日 言語コロキアム

日時:1月26日(土)13:30~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:北 雄介(京都大学デザイン学リーディング大学院)
タイトル:街歩きと都市の様相-空間情報付言語データと向き合う-
キーワード:様相、経路、時間、空間、人間
概要:我々は普段街を歩いているとき、どんなことを、どのようにして感じているのだろうか。本研究は、我々の街歩き体験を総合的に読み解く試みである。そのために被験者に実際に街を歩いてもらい、感じたこをを用紙に自由に記してもらうという一つの実験を行なった。そこで得られたのは、実際の都市空間という極めて豊穣なコンテクストをもつ「空間情報付言語データ」である。このデータを定量的・定性的に分析することで、街の雰囲気の在り方や、我々がそれを感じとるメカニズムに迫ることができた。発表者は普段、建築・都市や認知科学の分野での発表を続けている。今回は認知言語学の文脈のもと、特に空間情報付言語データのもつポテンシャルや、そのデータ取得・分析の方法論などにフォーカスして議論をしたいと考えている。

 

・第二発表
発表者:三阪日向(関西学院大学 文学研究科 博士課程前期)
タイトル:明暗を表すドイツ語の形容詞のメタファー拡張
キーワード:ドイツ語、明暗、メタファー拡張
概要:「明るい・暗い」のような視覚に関わる形容詞は、実際の視覚情報に関する描写だけではなく、場合によっては比喩的に用いられることもある。本発表では、ドイツ語の形容詞hell(明るい)とdunkel(暗い)を対象とし、それらが感情や知性の意味をはじめとするメタファー表現へと拡張するケースがあることをコーパスデータに基づいて指摘する。また、両形容詞のメタファー拡張に非対称性があることも指摘し、さらにその非対称性が何に起因するかを解明する。