認知言語学系研究室のイベント案内

10月18日 自主ゼミ

日時:10月18日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:近 大志 (谷口研 M1)
タイトル:Giora, Rachel. 2003 On Our Mind: Salience, Context and Figurative Language
キーワード:言語理解、処理モデル、修辞、字義通りの意味
概要:表題の書籍をレビューする.

京都言語学コロキアム 第15回年次大会(KLCAM 15)

京都言語学コロキアム (KLC: Kyoto Linguistics Colloquium) は,言語学,心理学,哲学,脳科学, 等の様々な学問的背景を持つ研究者の交流の場として 1983 年にスタートし,300 回に及ぶ研究会 を重ねてまいりました.2004 年からは 20 周年を記念して,毎年夏に京都言語学コロキアム年次大 会 (KLC Annual Meeting ⟨KLCAM [クルカム]⟩) を開催しております.本年度は下記のプログラム で京都言語学コロキアム第 15 回年次大会 (KLCAM 15) を開催する運びとなりましたので,ご案内 させていただきます.

 

発表は 1 件につき 80 分 (発表 45 分,質疑応答・ディスカッション 35 分) の予定です. 皆様お誘い合わせの上,多数のご参加をお待ちしております.

 

日時: 2018 年 9 月 29 日(土)13:00 ∼ 17:30 (会場受付 12:30 ∼)
会場: 京都大学吉田南キャンパス 総合人間学部棟 1102 号室

 

プログラム
開式の挨拶 (13:00–13:05)

第一発表 事象統合から見る英語使役移動構文の制約:状態変化動詞を伴う場合を中心として
発表: 貝森 有祐(東京大学)
時間: 13:05–14:25
司会: 岡久 太郎(京都大学)
キーワード: 使役移動構文、状態変化動詞、事象統合、単一経路制約
要旨: 状態変化動詞を伴う英語使役移動構文(例:The cook cracked the eggs into the glass)は単一節で状態変化(割れる)と位置変化(グラスに入る)を表す。そのため、「1つの節で表現できるのは1つの変化まで」という制約の反例として見なされ、他の使役移動構文には見られない制約が課されると考えられてきた。本発表では、事象統合の観点から状態変化動詞を伴う使役移動構文について検討し、事象統合の基本的性質からこの構文に課される諸制約を導くことが可能であることを論じる。

第二発表 知識駆動型言語処理 – 深層学習による進展とともに –
発表: 河原 大輔(京都大学)
時間: 14:35–15:55
司会: 金丸 敏幸(京都大学)
キーワード: 言語理解, 自然言語処理, 知識, 深層学習
要旨: 計算機による言語理解を実現するには、人間がもっているような常識的知識を計算機に与え、適切に利活用することが必要である。従来は、そのような常識的知識が計算機に欠けていたことが、言語理解の大きなボトルネックとなっていた。しかし、近年、ウェブを中心として、超大規模のテキスト集合が手に入るようになり、そこから知識を自動的に獲得できるようになったことにより、この状況が変わりつつある。また、ここ数年の深層学習の発展により様々な言語処理技術の性能が急速に向上している。本発表では、これらの研究を紹介するとともに、知識に基づく言語処理・理解の現在そして未来について議論する。

第三発表 直示動詞とその性質:通言語的実験研究から分かること
発表: 松本 曜(国立国語研究所)
時間: 16:05–17:25
司会: 谷口 一美(京都大学)
キーワード: 直示動詞、通言語的実験、話者領域、可視性、注視領域
要旨: 「来る」, come などの直示動詞は着点と話者の位置関係という視点から分析されてきた。しかし、その用法を詳細に見ていくと、移動物の位置と話者の位置関係という空間的な側面のみからは説明できない現象がある。たとえば、Matsumoto, Akita & Takahashi (2017) は、 「来る」系の動詞は、話者の位置への移動というよりも、話者とのインターアクションが可 能になる領域(話者領域)への移動という捉え方をした方が良いと述べている。この発表で は、そのような観点から NINJAL-Kobe project on motion event descriptions の B 実験の結果 を考察する。日本語(松本曜担当)、英語(松本曜担当)、中国語(夏海燕担当)、ハンガリー 語(江口清子担当)、ネワール語(松瀬育子担当)、クプサピニ語(河内一博担当)の結果か ら、「来る」「行く」系動詞を使用できる状況に言語間で違いがあり、その一部は話者領域を構成する要因の違いに求められることを論じる。

 

閉式の挨拶 (17:25–17:30)

9月20日 自主ゼミ

日時:9月20日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
第一発表
発表者:春日 悠生 (谷口研究室 D1)
タイトル:「福岡県久留米市方言の文末詞「ヤン」に関する記述的研究」
キーワード:久留米市方言、文末詞
概要:本研究は、久留米市方言において文末詞ヤンが用いられる発話を共通語にパラフレーズした際にどのような共通語に置換されるかを観察する。そして置換後の共通語文末詞の先行研究をもとに、文末詞ヤンの持つ意味・用法を包括的に記述する。
※日本方言研究会における口頭発表の練習です。

 

第二発表
発表者:石田 育子 (谷口研究室 M2)
タイトル:’A Proposal for Japanese Language Teaching: Applying Cognitive Grammar to Teaching the Passive Voice and the Benefactive “-te/-de morau”’
キーワード:応用認知言語学、日本語教育、日本語受身文、テモラウ文
概要:This presentation tries to show an attempt to apply Cognitive Grammar to teaching the passive “V-reru/rareru” construction and the benefactive “V-te/-de morau” construction in Japanese. These constructions are difficult for non-native speakers to learn because they both require learners to understand the viewpoint from which native speakers conceptualize an event. In my presentation, the similarity between the two constructions are captured using the canonical event model of Cognitive Grammar in Langacker (2008), with a hope it helps learners acquire these constructions more easily and deeply. The study argues that the canonical event model is useful in explaining the passive and the benefactive in Japanese because it manifests the role of the conceptualizer in adding the passive or benefactive auxiliary to the verb.

※ドイツ認知言語学会での口頭発表の練習です。発表は英語で行います。

6月28日 言語フォーラム

日時:6月28日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:神原 一帆 (谷口研究室 D1)
タイトル:「意義の曖昧性:下位意義の観点から」
キーワード:語彙単位,下位意義,断面 (facet),小意義 (microsense)
概要:フレーム意味論において,フレームを喚起する要素は語彙単位(lexical unit)であるとされている(Fillmore et.al 2003: 235).Cruse(1986)はこの語彙単位を「単一の意義と単一の形式の組み合わせ」として定義し,語彙意味論の研究対象を語彙単位にするべきであると主張する.本発表ではCruse (1995, 2000, 2001, 2011) 等で展開されている下位意義(subsense)の議論を概観することで,名詞の意味として扱うべき対象を模索する.

6月21日 言語フォーラム

場所:総合人間学部棟 1107号室

・第一発表発表者:佐藤 雅也 (谷口研究室 D1)
タイトル:「2種類の前提トリガーとその前提の処理について」
キーワード:strong presupposition、weak presupposition、presupposition failure、information update
概要:本発表では、前提という概念についての従来の研究を紹介した上で、特定の命題が共有基盤に含まれていることを求める前提トリガー (e.g. regret、againなど) が使用された場面での聞き手の処理ストラテジーについて、新たな可能性を提案するものである。話し手と聞き手の共有基盤に存在しない命題を喚起させる前提トリガーが使用されたとき、(i) 前提である命題が受容され、前提トリガーを含んだ発話の情報が新たに共有基盤に含まれる、(ii) 前提である命題が受容されず、情報の更新が行われない、という2つの可能性が論じられてきた。しかし、(iii) 前提トリガーに喚起される命題が受容されない場合であっても、その前提トリガーを含んだ発話の情報が新たに共有基盤の一部を形成する、という処理パターンが存在する可能性があり、これについて、Glanzberg (2003) と Tiemann et al. (2014) を参考にすることで論じる。

 
・第二発表発表者:佐藤 亜弓 (谷口研究室 D3)
タイトル:「失語症者と健常者の話法の比較〜Langackerの主体性の観点から〜」
キーワード:失語症、直接話法、間接話法、主体性、視点配置、状況主導型発話
概要:本発表では発話データベースAphasia Bankを用いて、まんが説明課題における失語症者と健常者の発話を話法に着目して比較検討し、健常者に比して失語症者は間接話法よりも直接話法を多用する傾向にあるということを示す。また、話法の違いに関してLangackerの主体性の観点から分析し、直接話法は失語症者にとってより発話が誘発されやすい視点配置をとった事態描写の仕方であるということを示す。