日時:2月24日(土)13:30~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:友繁有輝 (大阪大学大学院)
タイトル:ケネディ大統領の演説分析 -アメリカン大学卒業式での演説 (1963)を対象にして-
キーワード : 概念メタファー、批判的談話分析
備考:ケネディ大統領のアメリカン大学卒業式での演説 (1963)を対象に主にメタファーを中心として批判的談話分析 (Charteris-Black 2011, 2014)の観点から演説を分析する。
・第二発表
発表者:佐野泰之(京都大学)
タイトル:ギュスターヴ・ギヨームと言語の現象学
キーワード:G. Guillaume、H. J. Pos、M. Merleau-Ponty、現象学、ラング、パロール、潜在性
備考:本発表では、20世紀フランスの言語学者ギュスターヴ・ギヨームの諸著作を、とりわけその言語哲学としての側面に注目して考察する。言語学の分野では、ギヨームは冠詞や時制についての研究業績を残したことで知られているが、他方で彼は、その独創的な言語理論によってメルロ=ポンティ、リクール、ドゥルーズといった20世紀フランスの哲学者たちにも大きな影響を与えた。ギヨームの言語理論の特徴の一つは、言葉というものを、産出されたdiscoursにおいてではなく、discoursを産出しつつある話者の思考プロセスの只中で記述しようと試みた点にある。本発表ではとりわけメルロ=ポンティのギヨーム評価を考察の糸口として、このような姿勢のもとで形成されたギヨームの言語理論が現象学の企てに大きな寄与をなしうるということを明らかにしたい。
日時:2月8日(木)13:00〜
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:許逸如(国立台灣大学語言學研究所 (Graduate Institute of Linguistics, National Taiwan University) )
タイトル:The Multimodal and Conceptual Metaphor of “Sound” and “Music”
キーワード:multimodal metaphor, Metaphor Identification Procedure of Manga (MIPM), synesthetic metaphor, corpus-based
備考:This study investigates how people conceptualize the sound (human voice) and music in terms of multimodal metaphor and conceptual metaphor. The research material includes corpus and multimodal material in order to get an explicit overview of sound and music.
The corpus data are collected from COPENS and more than 2000 examples have been analyzed by using Metaphorical Pattern Analysis (MPA) proposed by Stefanowitsch (2006). Pitch, volume, timbre and tone are four important voice properties while describing human voices. The voice properties that easily be determined by machines, such as volume and pitch, tend to use ontological metaphor; on the other hand, voice properties such as timbre or tone tend to use metonymy.
For the multimodal data, this study proposes Metaphor Identification Procedure of Manga (MIPM) as a method in order to identify the metaphor of musical-themed manga. Totally 4 genres, 6 different manga and more than 1000 music-related panels have been analyzed. Four synesthetic metaphors and seven synesthetic metonymies have been discovered. It is noticeable that music tends to be transferred to sight and touch; moreover, the pictorial representation of music is in fact similar to the results of sound symbolism.
Overall, by analyzing both corpus and multimodal examples, the study enhances our understanding of conceptualization of sound and music. A new methodology for identifying metaphor in manga has been proposed as well.
日時:1月25日(木)15:00~(※開始時間が通常と異なります)
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:田中悠介(谷口研M2)
タイトル:言語的共感の理解過程に関する実証的研究
キーワード:共感、際立ち、メンタル・シミュレーション
備考:Kuno and Kaburagi (1977) に端を発する共感という概念は、主に話し手の観点から論じられてきたため、受け手の共感という側面は考慮されていない。加えて、共感の分析は言語現象の観察のみに基づいており、その心的実在性は不確かである。本研究は、受け手による共感の理解という認知過程に対し実証的なアプローチをとることで、先述の2つの課題に取り組んだ。
・第二発表
発表者:佐藤雅也(谷口研M2)
タイトル:語用論的前提に関する実証的研究ー言語情報と視覚情報を対象としてー
キーワード:視覚情報、語用論的前提、共有知識
備考:従来、言語情報が語用論的前提の研究対象として扱われてきた。しかし、前提を共有知識の観点から定義するのであれば、視覚情報も前提となるはずである。本研究では、それを実証実験により検証した。
日時:1月18日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:神原一帆(谷口研M2)
タイトル:分類関係へのコーパス基盤アプローチ
キーワード:上下関係,分類関係 (taxonymy),コーパス
備考:語彙同士の意味的な関係の一つの上下関係 (hyponymy) に関する研究は多いが,この意味関係と実際の言語使用について言及したものはない.本研究ではこれをうけ,「上下関係は語彙関係である」という作業仮説を導出した.この仮説を,BNCから得られたデータをもとに検討した.
・第二発表
発表者:春日悠生(谷口研M2)
タイトル:情報提示の発話の類型—日本語文末詞の用法記述にむけて—
キーワード:文末詞、終助詞、ヨ、ネ、ノダ
備考:日本語の文末詞の用法は、ヨ、ネ、ノダなどの各形式ごとに行われることが多く、それらの用法の直接的な比較が難しいのが現状である。本研究では情報提示の発話の類型を行うことで、それらを統一的に記述する方法を提案し、そこから導かれるいくつかの文末詞の使用制限について指摘を行う。
・第三発表
発表者:井上優大(谷口研M2)
タイトル:談話における焦点に関する認知文法的考察
キーワード:認知文法、焦点、注意枠(attentional frame)
備考:従来の認知文法では、情報構造における焦点は「それまで不活性で、新たに活性化された要素」とされてきた。しかし、活性状態の上ではすでに活性化されている要素であっても、文脈次第でそれが焦点となることはありうる。本研究は、焦点を要素の活性状態ではなく前提との関係から捉えることで、認知文法において焦点をより適切に扱うことができることを示したものである。
日時:12月23日(土)13:30~
場所:総合人間学部棟 1103号室
・第一発表
発表者:川口 聖(関西学院大学 手話言語研究センター)
タイトル:日本手話の漫画語源感情表現の分析
キーワード:日本手話、手話言語、概念メタファー、感情表現
備考:手話言語は図像性(iconicity)の高い言語と考えられている。空間的なものを手指モダリティで表す点において手話はもっとも図像性が高いが、感情表現のような抽象的な概念についてはどうだろうか。Taub(2001)は、アメリカ手話(American Sign Lanuage: ASL)の語形成過程として、iconic mappingとmetaphorical mappingというダブルマッピングモデルを提案している。
本発表では、日本手話の感情を表す手話単語には、Taubのダブルマッピングモデルで説明できるもののほか、日本文化的なものとして、漫画の慣用表現に基づくイメージを利用した表現があることを指摘する。また、日本手話の感情表現にどのような概念メタファーがあるか検討する。
・第二発表
発表者:津田洋子(京都大学人間・環境学研究科研修員)
タイトル:フランス語の現象描写文<NP+関係節>における冠詞の機能
キーワード:現象描写文、定名詞句、フレーム/スクリプト、voilà(here’s/there’s)、場所句
備考:フランス語には、(1)のように <名詞句+関係節>で、話し手がたった今知覚した事態を述べる文(現象描写文)がある。
(1) Le facteur qui passe !
the mailman who passes ‘The mailman is passing !’
この文タイプには、一般に定名詞句(定冠詞/所有形容詞+名詞句、固有名詞)が多く出現することが知られている。本発表では、たった今知覚した事態であるにもかかわらず、なぜ定名詞句(定冠詞)が用いられるのかを、フレーム/スクリプトの概念を用いて説明する。また、不定名詞句(不定冠詞)が用いられるのはどのような場合かについても考察する。(10月の日本フランス語フランス文学会での発表を修正した内容です)