カテゴリー ‘Forum’ のアーカイブ
認知言語学系研究室のイベント案内

5月24日 言語フォーラム

日時:5月24日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表

発表者:井上 拓也 (谷口研究室 D3)
タイトル:「知覚を促すデザインとしての言語—「見せ方」の意味論を生態学的言語観から再考察する」
キーワード:エコロジカル・リアリズム,見せ方の意味論,アフォーダンス理論,フレーム意味論
概要:生態(心理)学的立場では,「意味」すなわち関係性としてのアフォーダンスあるいは(生態学的情報)は言語表現によって伝達しうるものではなく環境の中で特定される(Gibson 1979: 257, Reed 1996: 155-156, 河野 2003: 58)。この立場では,ソシュール的記号観に基づく従来の(認知的)言語学のように「言語表現の意味」をそのまま表現対象のアフォーダンスの反映としてみなすことはできない。それに対して本発表では,アフォーダンス理論におけるノーマン(2011)で提示された「知覚を促すデザイン=シグニファイア」の概念や,有元・岡部(2008)の社会的デザインの議論を参考にしつつ,言語表現を社会的デザインを基盤とする「知覚を促すデザイン」として記述することを提案する。その上で,生態心理学的立場から提示された本多(2006)などの言語分析を対象に,各言語表現がどのように“デザイン“として機能しているのかを再考察し,生態学的観点からの一貫性のある説明の可能性を探る。

5月17日 言語フォーラム

日時:5月17日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:近 大志 (谷口研究室 M1)
タイトル:「スウェーデン語動詞övertalaの意味研究」
キーワード:スウェーデン語、含意、名詞の意味、クオリア構造
概要:本研究では、スウェーデン語の動詞övertala(説得する, 英語のto persuadeに相当) の語義・構文についての包括的な記述を目指した。
また、調査の段階で生じた2つの疑問を提起し、それらの回答を試みた。
Q1. övertalaは、説得内容の実行を含意するのか?
方法: övertala NP att VP (persuade NP to VP)について、例文テスト等から含意性を検証する
A1: övertalaは説得内容の実行を含意する。
Q2. övertala NP1 till NP2 (tillは前置詞)という構文において、どのような説得内容が可能か?
方法: コーパス調査で得られたNP2を事象を喚起する名詞(事象名詞、影山(2014)と、そうでない名詞(個体名詞、ibid.)に分類する。その後、それぞれの名詞類について独立した考察を行う。
A2: 事象名詞は当該の事象を表し、個体名詞が表す事象はクオリア構造 (Pustejovsky(1995), 小野(2005))によって記述・予測が可能である。

 

・第二発表
発表者:神原 一帆 (谷口研究室 D1)
タイトル:「フレーム意味論にもとづいた名詞の分析:Killingフレームを例に」
キーワード:フレーム意味論,FrameNet,名詞の意味,コーパス
概要:本研究では,名詞が状況の言語化に与える影響をフレーム意味論の観点から分析する.フレー ム意味論において語の意味は,その語が喚起する状況の部分を表すものとしてモデル化される (Fillmore 1982, 1985, 2003).しかしながら,動詞以外の要素が状況の言語化に与える影響は十分に議論がなされていない.よって,本研究ではある典型的な状況が言語化される際に,名詞がどのように使用されているのかを検討した.具体的には動詞 kill の目的語に現れる動物名詞の種類に応じて Killing フレームのどの要素が言語化されるのかを分析した.その結果,名詞の目的語の種類に よって言語化される要素に差が観察された.この結果から,名詞の意味には「ある特定の状況において,どのような役割を果たすのか」という情報が含まれる可能性が示された.

5月10日 言語フォーラム

日時:5月10日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:樊 毓 (谷口研究室 M1)
タイトル:「日中の近称指示詞コと『這』の非現場指示機能の探究ー話し言葉コーパスに基づいてー」
キーワード:近称指示詞、照応、非現場指示、メンタル・スペース、日中対照
備考:本研究は、日中の近称指示詞が話し言葉の中で果たす「非現場指示の機能」と「指示対象への照応方向(前方照応か後方照応か)」の二点に着目し、さらに、両者の相互作用を明らかにすることを目的としている。非現場指示機能においては、Diessel (1999)の分類に基づき、「名詞句照応」(anaphoric use)、「命題照応」(discourse deictic use)と、「記憶指示」(recognitional use)に分け、三つの機能を考察してきた。話し言葉コーパスにより採集されたデータから、コと「這」のいずれも、「命題照応」と前方照応の用法が多数ということがわかった。しかし、非現場指示のコには、相当数の「記憶指示」用法と後方照応の例が確認される。さらに、複数の指示機能を果たす混合型と思われる例も多く見られる。それらの現象について、東郷雄二(2000)で提出された、メンタル・スペース理論に基づく「談話モデル」の考察をふまえながら検討を行った。

 

・第二発表
発表者:岡久 太郎 (谷口研究室 D3)
タイトル: 「認知言語学における記号的言語観とは」
キーワード:記号的言語観、構文文法、認知文法、関連性理論、文脈
概要:文法的知識と語彙的知識を連続的なものとして捉える記号的言語観は、認知言語学の研究者にとって共通の理論的基盤とされることが多い。しかし、「記号」の構成要素である「形式」と「意味」とがいかなるものであり、どのような現象までを説明対象としうるのかといった議論は十分になされていない。本発表では、これまでの認知言語学における記号的言語観に見られる問題点を指摘し、それを解決するためにはどのような「記号」を想定するべきであるかを議論する。

4月26日 言語フォーラム

日時:4月26日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:森 夏輝 (谷口研究室 M1)
タイトル:「談話における文脈の把握に関する研究―笑いの分析を視座に―」
キーワード:文脈(言語的文脈、物理的文脈、社会的文脈),文脈との不一致・不整合,笑い,言語解釈
備考:言語の解釈に影響を及ぼす文脈とはいったい何であり、それは言語活動の主体にどのように把握されるのだろうか。本発表では、文脈の把握に関して笑いに着目し、研究を行った。笑いを、何らかの形で想定される文脈とその場で生成された文脈との不一致・不整合によって生じるものと定義し、その場面をみることによって、文脈の種類や文脈の把握についての仮説を提案する。具体的には、文脈を言語的文脈、物理的文脈、社会的文脈に分け、その相互の関係から、文脈の把握に関して、我々は言語解釈において言語情報を文脈となるべく過不足なく整合的に一致させようとして解釈するという仮説の提案を行う。また、以上の仮説を基に、実際の談話においてどのように文脈が把握されているのかについて、調査を行い、仮説を検討した。
(卒業論文をもとにした発表です。)

 

・第二発表
発表者:春日 悠生 (谷口研究室 D1)
タイトル:「命令・勧誘の発話における終助詞ヨの機能」
キーワード:終助詞ヨ、命令 (imperative)、勧誘 (hortative)
備考:本発表では、日本語の終止形言い切り (e.g. 「行く。」) が命令と解釈されうる一方、それに終助詞ヨが付加した形「行くよ。」は命令とは解釈されない現象に着目する。日本語の命令・勧誘の発話と終助詞ヨのかかわりをみることで、命令・勧誘における終助詞ヨの機能や分布を探る。

4月19日 言語フォーラム

日時:4月19日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:緒方悠介 (谷口研究室 M1)
タイトル:「日常会話における関西地方の方言「知らんけど」のもつ意味・役割」
キーワード:語用論,主体化,談話標識,会話の協調規則,
備考:関西地方における方言のひとつとして、発話末に現れる「知らんけど」という表現が存在する。この表現の一部である接続詞「ケド」の機能の変遷を主体化(Langacker 1999)を用いて分析したり、談話標識(Schiffrin 1987)、会話の協調規則(Grice 1975)といった考え方を援用したりすることで、談話においてこの「知らんけど」表現が果たす機能や、使用される場面・文脈の条件などについて捉えようとした。
(卒業論文をもとにした発表です。)

 

・第二発表
発表者:岡久 太郎 (谷口研究室 D3)
タイトル:「状況に依存した構文使用: 教育が言語知識に与える影響を考慮して」
キーワード:使用基盤モデル, 構文産出, 国語教育
備考:本発表では、小学校2〜5年の児童の作文を分析し、学年ごとに使用されやすい構文の種類が異なることを示し、その差は言語発達の度合いだけではなく、国語教育における指導にも関係している可能性があることを指摘する。先行研究においては、使用基盤モデルに立脚し、個々人の教育におけるインプットの差が特定の構文理解の正確さや速さに影響を与えることが示されているが、これらの研究では、高水準の教育を受けたか否かという観点から個々人を分類している。そこで、本研究では、同一の教育課程における学年の差に着目することで、より詳細に言語教育が個人に与える影響を考えることを目指す。