カテゴリー ‘Forum’ のアーカイブ
認知言語学系研究室のイベント案内

4月27日 言語フォーラム

日時:4月27日(木)13:00~

場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表発表者:関根雅晴(谷口研究室M1)

タイトル:北海道方言における”V-(r)asar構文”の認知文法論的アプローチ

キーワード:認知文法、北海道方言、(ラ)サル、Iモード認知、地域方言

備考:北海道方言には、動詞語根に形態素 /-(r)asar-/ を後接することにより表される”V-(r)asar構文”が存在する。本発表では、はじめに、当該構文を包括的に論じたいくつかの先行研究をもとに、V-(r)asar構文の性質を概観する。また、認知的な観点にもとづき整理を行い、各用法を貫くのスキーマを提示する。その上で、Agent が文中に現れないという当該構文の特徴について、事態認知のモード(cf. 中村 2004,2009) や、地域方言が主として話し言葉として使用・形成されてきたことなどを考慮に入れ、説明を試みる。
・第二発表発表者:佐藤嘉晃(谷口研究室M1)

タイトル:asの意味論

キーワード:認知意味論、スキーマ、プロトタイプ

備考:英語の単語asは様々な意味を表す多義語である。接続詞のasに限っても様態、時、比例、理由など様々な意味を表すことができる。これらの意味は一見それぞれが表す意味内容により独立して存在しているように思える。しかしながらこれらの意味は互いに連続性を保っており、あるスキーマを基に意味拡張していったものだと考えることができる。本発表ではそのスキーマを”similarity”と仮定し、何と類似するのかというその焦点を明らかにした上でそれぞれの意味のつながりを示していく。

4月20日 言語フォーラム

日時:4月20日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:鳥越地子(谷口研究室M1)
タイトル:日本語補助動詞テシマウと英語get受動文における話者の感情表出
キーワード:アスペクト、語用論的意味、感情表出、NSM
備考:日本語の補助動詞「-てしまう」は話者の「残念さ」や「後悔」といった話者の感情を含意し、英語のget受動文が類似した含意を持つことがあると指摘されている。両形式の類似した感情的意味の基盤として先行研究では共通のアスペクト的性質が指摘されているが、本論では感情的意味の派生をさらに詳しく検討するとともに両形式の相違点についても検討した。具体的にはget受動文の感情的意味は主語参与者の「利益性・被害性」及び「責任性」という語用論的含意によるところが大きいのではないかと指摘した。さらに、両形式の感情的意味のNatural Semantic Metalanguage (NSM)によるexplicationを試みた。
・第二発表
発表者:酒井啓史(谷口研究室M1)
タイトル:tell / say + NP (+to-)の意味論
キーワード:認知言語学,語法研究,発話動詞,tell,say,百科事典的知識
備考:本稿では,発話動詞tellとsayに後続する名詞句の対立について考察する。ある種の名詞句には,tellには後続しうるがsayには後続しえない名詞句,逆にsayには後続しうるがtellには後続しえない名詞句がある。
(1)   a.     John told the truth (to Mary).
b.  ? John said the truth (to Mary).
(2)   a.     John said a word (to Mary).
b.  * John told a word (to Mary).
本稿では,発話動詞tellとsayを用いた構文形,tell + X (+ to -)とsay + X (+ to -)は事象の連鎖の段階にそれぞれ違いが見られることを示し,変数Xにある種の名詞句を代入したとき,それぞれの構文形が持つ意味と代入した名詞句の意味,日常経験・常識 (百科事典的知識 cf. Taylor (2003: 84-100)) の整合性の度合いによって,(1)(2)のように後続しうる名詞句に違いが生じることを主張する。

2月23日 言語フォーラム

日時:2月23日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室

・第一発表
発表者名:神原 一帆(谷口研究室M1)
タイトル:概念的階層構造の統語的反映
キーワード:上下関係,タクソノミー,挙動分析 (behavioral profile)
備考: Croft & Cruse (2004: Ch.6)では代表的な意味関係の1つとして挙げられる上下関係の認知言語学的な解釈が示されている.これに加え,Cruse (2002) では,上下関係はその関係自体が非常に複雑であることが指摘されている.このような研究は上下関係を同定することに焦点が当たってきたことが特徴として挙げられる.だが,このように上下関係にあると認定された語彙が具体的にどのような使用域を持つのかに関しては議論がされていなかった.本発表では上下関係という意味関係が統語的に反映されているのではないかという仮説の下に,Gries (2010) が提唱する挙動分析 (behavioral profile) がこの分析に有用ではないのかという点を考察する.

・第二発表
発表者:田中 悠介(谷口研究室M1)
タイトル:話し手の「共感」は言語理解の過程にも反映されるか?
キーワード:視点、言語理解、メンタルシミュレーション
備考:久野 (1978) が示した「授与動詞の視点制約」は、言語表現にその参与者に対する話し手の共感 (Empathy) が反映されている一例である。ただしこの制約は、あくまで話し手にかかるものである。本研究は、受け手が授与動詞を含む表現を理解する際も、話し手と同様に共感の対象となる参与者を自己同一視していることを実験により示す。

2月16日 自主ゼミ

日時:2月16日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室

・第一発表
発表者:岡久 太郎(谷口研究室D1)
タイトル:類音性を利用した和歌修辞に関する一考察: 認知言語学の観点から
キーワード:類音性、和歌修辞、偶然性、伝達者と解釈者、記号的言語観、言語理解過程
備考:
(1)
a. … 春べは花折り”かざし” 秋立てば黄葉(もみぢば)”かざし” … (萬葉集、巻二、196)
b. … 藤”ごろも” 織れるこ”ころも” …(古今集、巻十九 雑体、1002)

上記の2例において、古来より (1a) と比較して (1b) の方が押韻において優れているとされてきた。九鬼周造は、この点を「偶然性」という観点より早くから説明している。すなわち、(1b) は偶然性を有するのに対し、(1a) はむしろ必然性を有する音の類似であると九鬼は説明する。
本発表では、類音性を利用した修辞が九鬼の考える偶然性の体系内のどこに位置付けられるかについて、伝達者と解釈者との2つの立場を分け、それぞれから考えていく。
その上で、認知言語学の記号的言語観から言語理解過程に関する仮説を導出し、これが偶然性を有する歌の方がそうでない歌よりも押韻において優れているとされる理由を説明しうるということを示す。

2月9日 自主ゼミ

日時:2月9日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室

・第一発表
発表者:井上 拓也(谷口研究室 D1)
タイトル:アイヌ語場所表現に見られる限定性について
キーワード:アイヌ語場所表現、限定性
備考:アイヌ語において、名詞(句)と格助詞が共起する際には、その間に「〜の上」などの意味を表す位置名詞(positional noun)を挿入する必要がある。この文法的制約を受けた表現は「場所表現」と呼ばれている。本発表では、場所表現の中で現れる指示詞、形式名詞、地名を含む場所名詞について、それぞれの場合で「限定性(definiteness)」がどのように実現されているのか、という観点から論じ、「場所表現」のスキーマ的意味に関する統一的な説明を試みる。