カテゴリー ‘KLC’ のアーカイブ
認知言語学系研究室のイベント案内

1月26日 言語コロキアム

日時:1月26日(土)13:30~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:北 雄介(京都大学デザイン学リーディング大学院)
タイトル:街歩きと都市の様相-空間情報付言語データと向き合う-
キーワード:様相、経路、時間、空間、人間
概要:我々は普段街を歩いているとき、どんなことを、どのようにして感じているのだろうか。本研究は、我々の街歩き体験を総合的に読み解く試みである。そのために被験者に実際に街を歩いてもらい、感じたこをを用紙に自由に記してもらうという一つの実験を行なった。そこで得られたのは、実際の都市空間という極めて豊穣なコンテクストをもつ「空間情報付言語データ」である。このデータを定量的・定性的に分析することで、街の雰囲気の在り方や、我々がそれを感じとるメカニズムに迫ることができた。発表者は普段、建築・都市や認知科学の分野での発表を続けている。今回は認知言語学の文脈のもと、特に空間情報付言語データのもつポテンシャルや、そのデータ取得・分析の方法論などにフォーカスして議論をしたいと考えている。

 

・第二発表
発表者:三阪日向(関西学院大学 文学研究科 博士課程前期)
タイトル:明暗を表すドイツ語の形容詞のメタファー拡張
キーワード:ドイツ語、明暗、メタファー拡張
概要:「明るい・暗い」のような視覚に関わる形容詞は、実際の視覚情報に関する描写だけではなく、場合によっては比喩的に用いられることもある。本発表では、ドイツ語の形容詞hell(明るい)とdunkel(暗い)を対象とし、それらが感情や知性の意味をはじめとするメタファー表現へと拡張するケースがあることをコーパスデータに基づいて指摘する。また、両形容詞のメタファー拡張に非対称性があることも指摘し、さらにその非対称性が何に起因するかを解明する。

11月24日 言語コロキアム

日時:11月24日(土)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:中嶌 浩貴(三重大学)
タイトル:英語名詞転換動詞における意味と百科事典的知識:植物名詞の事例研究
キーワード:COCA、英語植物名詞、フレーム意味論、名詞転換動詞
概要:本発表では、英語における名詞転換動詞の意味と百科事典的知識の関係を探る。事例研究として、植物を表す名詞より転換された動詞(植物動詞)を取り上げる。本研究の内容は次の2つにまとめられる。(i)アメリカ英語コーパスCOCAより得られたデータの詳細な観察を通して、英語植物動詞の詳細な意味記述を行う。またこれに基づき、植物動詞の意味理解に関与する百科事典的知識の特徴づけを行う。(ii)フレーム意味論の枠組みから、個別のフレームを考慮することによって、植物動詞の意味が適切に説明できることを示し、先行研究に対してフレーム意味論的アプローチの有効性を論じる。

・第二発表
発表者:河野 亘(京都大学)
タイトル:情報源と情報獲得の概念化:have it (PP) that 構文を事例として
キーワード:have 構文, 構文化, 補文化, エビデンシャリティ
概要:本発表では、英語 have it (PP) that 構文の分析から、英語には情報源を表す方略 (evidential strategy)
として2種類の have 構文の下位構文が存在することを示す。本発表で扱う構文は定形節補文を伴う have
構文であり、イディオム的な特徴を持つ。本研究では通時的分析に基づき、当該構文では他構文からの類推やプロファイルシフトによってプロトタイプ的な
have 構文からの漸進的な構文化が進み、その過程で情報源のスキーマが発達し、現代英語の姿となったことを明らかにする。

京都言語学コロキアム 第15回年次大会(KLCAM 15)

京都言語学コロキアム (KLC: Kyoto Linguistics Colloquium) は,言語学,心理学,哲学,脳科学, 等の様々な学問的背景を持つ研究者の交流の場として 1983 年にスタートし,300 回に及ぶ研究会 を重ねてまいりました.2004 年からは 20 周年を記念して,毎年夏に京都言語学コロキアム年次大 会 (KLC Annual Meeting ⟨KLCAM [クルカム]⟩) を開催しております.本年度は下記のプログラム で京都言語学コロキアム第 15 回年次大会 (KLCAM 15) を開催する運びとなりましたので,ご案内 させていただきます.

 

発表は 1 件につき 80 分 (発表 45 分,質疑応答・ディスカッション 35 分) の予定です. 皆様お誘い合わせの上,多数のご参加をお待ちしております.

 

日時: 2018 年 9 月 29 日(土)13:00 ∼ 17:30 (会場受付 12:30 ∼)
会場: 京都大学吉田南キャンパス 総合人間学部棟 1102 号室

 

プログラム
開式の挨拶 (13:00–13:05)

第一発表 事象統合から見る英語使役移動構文の制約:状態変化動詞を伴う場合を中心として
発表: 貝森 有祐(東京大学)
時間: 13:05–14:25
司会: 岡久 太郎(京都大学)
キーワード: 使役移動構文、状態変化動詞、事象統合、単一経路制約
要旨: 状態変化動詞を伴う英語使役移動構文(例:The cook cracked the eggs into the glass)は単一節で状態変化(割れる)と位置変化(グラスに入る)を表す。そのため、「1つの節で表現できるのは1つの変化まで」という制約の反例として見なされ、他の使役移動構文には見られない制約が課されると考えられてきた。本発表では、事象統合の観点から状態変化動詞を伴う使役移動構文について検討し、事象統合の基本的性質からこの構文に課される諸制約を導くことが可能であることを論じる。

第二発表 知識駆動型言語処理 – 深層学習による進展とともに –
発表: 河原 大輔(京都大学)
時間: 14:35–15:55
司会: 金丸 敏幸(京都大学)
キーワード: 言語理解, 自然言語処理, 知識, 深層学習
要旨: 計算機による言語理解を実現するには、人間がもっているような常識的知識を計算機に与え、適切に利活用することが必要である。従来は、そのような常識的知識が計算機に欠けていたことが、言語理解の大きなボトルネックとなっていた。しかし、近年、ウェブを中心として、超大規模のテキスト集合が手に入るようになり、そこから知識を自動的に獲得できるようになったことにより、この状況が変わりつつある。また、ここ数年の深層学習の発展により様々な言語処理技術の性能が急速に向上している。本発表では、これらの研究を紹介するとともに、知識に基づく言語処理・理解の現在そして未来について議論する。

第三発表 直示動詞とその性質:通言語的実験研究から分かること
発表: 松本 曜(国立国語研究所)
時間: 16:05–17:25
司会: 谷口 一美(京都大学)
キーワード: 直示動詞、通言語的実験、話者領域、可視性、注視領域
要旨: 「来る」, come などの直示動詞は着点と話者の位置関係という視点から分析されてきた。しかし、その用法を詳細に見ていくと、移動物の位置と話者の位置関係という空間的な側面のみからは説明できない現象がある。たとえば、Matsumoto, Akita & Takahashi (2017) は、 「来る」系の動詞は、話者の位置への移動というよりも、話者とのインターアクションが可 能になる領域(話者領域)への移動という捉え方をした方が良いと述べている。この発表で は、そのような観点から NINJAL-Kobe project on motion event descriptions の B 実験の結果 を考察する。日本語(松本曜担当)、英語(松本曜担当)、中国語(夏海燕担当)、ハンガリー 語(江口清子担当)、ネワール語(松瀬育子担当)、クプサピニ語(河内一博担当)の結果か ら、「来る」「行く」系動詞を使用できる状況に言語間で違いがあり、その一部は話者領域を構成する要因の違いに求められることを論じる。

 

閉式の挨拶 (17:25–17:30)

5月26日 言語コロキアム

日時:5月26日(土)13:30~
場所:総合人間学部棟 1107号室

・第一発表

発表者:林智昭(近畿大学非常勤)
タイトル:「followingの前置詞的用法について」
キーワード:文法化、意味の漂白化、動詞派生前置詞
概要:本発表では、(主に記述文法を中心とする)先行研究の議論を踏まえつつ、前置詞的振る舞いをするfollowingを通時的・共時的に観察し、文法化の観点から考察を行う。

 

・第二発表

発表者:山崎香緒里(お茶の水大学大学院),岡久太郎(京都大学大学院)
タイトル:「多義語を用いた新奇表現の解釈―日本語を母語とする英語学習者を対象に―」
キーワード:新奇表現 解釈 定着度 構文文法 日本語を母語とする英語学習者
概要:本発表では、新奇表現の解釈に、話者がすでに獲得している慣習的表現の構文スキーマがどのように関わるのかをそれぞれの定着度の観点から議論する。用法基盤の言語学では、話者の言語理解と産出に構文スキーマが関わっていることは、広く受け入れられている。Taylor (2012)は、新奇表現を解釈する際、話者はすでに獲得した用法とのアナロジーを用いていると指摘している。しかし、このことは実験的に示されたわけではない。本研究では、英語動詞CUTを例に、話者が新奇表現を解釈する際、どのように構文スキーマが用いられているのかを考察した。

実験は、実験1、実験2が、それぞれ日本語を母語とする英語学習者30名を対象に行われた。実験1では、各学習者に対して、“cut the rope”のような慣習的表現を、どの程度聞き慣れているか、それらを具体的にどのように理解しているかを回答させた。実験2では、“cut the name”のような新奇表現を提示し、実験1で使用した慣習的表現のいずれと似ていると思うかをその理由とともに記述させた。これらの結果から、英語学習者が新奇表現を解釈する際に、どの定着した構文を、どのようにアナロジー的に用いているかを考察する。

2月24日 京都言語学コロキアム

日時:2月24日(土)13:30~
場所:総合人間学部棟 1107号室

・第一発表
発表者:友繁有輝 (大阪大学大学院)
タイトル:ケネディ大統領の演説分析 -アメリカン大学卒業式での演説 (1963)を対象にして-
キーワード : 概念メタファー、批判的談話分析
備考:ケネディ大統領のアメリカン大学卒業式での演説 (1963)を対象に主にメタファーを中心として批判的談話分析 (Charteris-Black 2011, 2014)の観点から演説を分析する。

・第二発表
発表者:佐野泰之(京都大学)
タイトル:ギュスターヴ・ギヨームと言語の現象学
キーワード:G. Guillaume、H. J. Pos、M. Merleau-Ponty、現象学、ラング、パロール、潜在性
備考:本発表では、20世紀フランスの言語学者ギュスターヴ・ギヨームの諸著作を、とりわけその言語哲学としての側面に注目して考察する。言語学の分野では、ギヨームは冠詞や時制についての研究業績を残したことで知られているが、他方で彼は、その独創的な言語理論によってメルロ=ポンティ、リクール、ドゥルーズといった20世紀フランスの哲学者たちにも大きな影響を与えた。ギヨームの言語理論の特徴の一つは、言葉というものを、産出されたdiscoursにおいてではなく、discoursを産出しつつある話者の思考プロセスの只中で記述しようと試みた点にある。本発表ではとりわけメルロ=ポンティのギヨーム評価を考察の糸口として、このような姿勢のもとで形成されたギヨームの言語理論が現象学の企てに大きな寄与をなしうるということを明らかにしたい。