カテゴリー ‘KLC’ のアーカイブ
認知言語学系研究室のイベント案内

8月27日 京都言語学コロキアム年次大会 (KLCAM)

【京都言語学コロキアム 第14回年次大会】
日時: 2017年 8月27日(日)13:00~17:30 (会場受付 12:30~)
会場: 京都大学吉田キャンパス 総合人間学部棟 1102号室

1. 守田貴弘(京都大学)
タイトル:ダイクシス研究から考える「捉え方」の問題
キーワード:ダイクシス,類型論,捉え方,主観的/客観的事態把握
要旨:認知言語学において展開されている「意味は概念化であり,捉え方だ」「言語形式には認知が反映されている」という考え方を字義通りに解釈するならば,対照言語学的・類型論的研究は強烈な相対論に陥ってしまうことが避けられない.本発表では,移動表現研究におけるダイクシスに焦点をあて,「話者による捉え方」としか言いようのない意味がどのようなものかという例を示し,「捉え方」や「概念化」によって説明すべき意味的問題は非常に限定的であるという提案を行う.

2. 荒牧英治(奈良先端科学技術大学院大学)
タイトル:ビッグデータが明かにする新たな言語統計とその応用
キーワード:ソーシャルメディア,自然言語処理,ビッグデータ,医療応用
要旨:かつてない巨大なテキストデータが利用可能になりつつある.単に量が多いというわけではない.使用者に紐付いていたり,位置情報と紐付いていたり,言語知能指数や脳画像,疾患などと紐付いたデータなど,さまざまな情報が付与されたテキストデータが同時多発的に開発されつつある.遠くない将来,これらを利用した新たな言語応用研究が開花するであろう.本発表では,認知症,感染症,副作用といった医療応用事例をベースに言語がどのように実社会応用されつつあるのかを概観し,今後の研究の可能性を議論する.

3. 西光義弘(神戸大学名誉教授)
タイトル:注意配分システムとしての格表示
キーワード:格文法、構文交替、注意心理学、日英対照
要旨:本発表ではFillmoreの格文法の提案は根本的に間違っていたことを証明する。格文法の仮説は深層格を構文交替に基づいて同定し、目的語と主語は表層で現れるとした。その後この仮説は生成文法の中でθ理論と格理論として確定された。この様によく似たものが2つ存在するということは体系の経済性から言っても不自然である。本発表では目的語は行動において最も注意を集中する対象を表わし、英語のfor句は今目の前の行動の前あるいは後、または並行して起こる行動に対する周辺的な注意を表わしていることを受益者格を表わさない実例に基づいて観察する。With句については目の前の行動の直前から準備された継続的周辺注意を表わしているという仮説を同具格を表わさない実例に基づいて提出する。さらに日本語は何故英語と比べて「起点のヲ」、「経路のヲ」「状況のヲ」に見られるように幅広い目的語をとるのかということを日本人の注意の作戦から説明する。その結果、構文交替という余剰な現象がなぜ存在するかも説明される。

※ KLCAM終了後、懇親会を予定しております。お時間に余裕のある方は、是非ご参加ください。

6月24日 京都言語学コロキアム

日時:6月24日(土)13:30~

場所:総合人間学部棟 1107号室

・第一発表

発表者:許 逸如(国立台灣大学語言學研究所 (Graduate Institute of Linguistics, National Taiwan University) )

タイトル:Seeing Sounds: The Multimodal Metaphor of Visualized Sounds/Music in Music-themed Manga and Auditory-related Print Advertisements

キーワード:multimodal metaphor, synesthetic metaphor, musical-themed manga, print advertisement

備考:Multimodal metaphor studies investigate metaphors from multimodal discourse, including advertising, films, comics, music, etc. However, there is scant literature dealing with nonverbal cross-sensory representation between sounds/music and visual media. This study aims to bridge this gap through the examination of how sounds/music is represented in visual media, using Japanese music-themed manga and advertisements as examples. The study includes several genres of Japanese music-themed manga, including classical music, traditional Sokyoku, rock, and heavy metal music. In addition, the study investigates 130 auditory-related print advertisements, including advertisements of earphones, earplugs, speakers, etc. Our significant findings are described as follows. First, visual elements can represent invisible sounds/music by using metaphors, metonymies and symbols. Second, different genres of music exhibit different figurative representations. In fact,  different manifestations of visualized music somehow correspond with sound symbolism and “Bouba-kiki effect” (Ramachandran & Hubbard 2001). Also, the manifestation is based on the physical facts of sounds/music. Third, the results also show multi-modality phenomenon entailing synesthetic experiences. The study concludes with the statement that it sheds light on our overall understanding of the relationship between multimodal metaphor of sounds/music and visual media, and between metaphors and cross-sense synesthesia. It contributes to the theories of both multimodal metaphors and the relationship between metaphor, cognition and visual arts.

・第二発表

発表者:木本幸憲(名古屋大学人文学研究科日本学術振興会特別研究員PD)

タイトル:フィリピン型ヴォイスから事態類別体系へ:アルタ語の動詞形態論の歴史的発達と類型論的位置づけ

キーワード:アルタ語(ISO-639: atz)、フィリピン型ヴォイス体系、動詞形態論、事態認知、オーストロネシアの比較言語学

備考:本発表では、フィリピンのルソン島で話されているアルタ語の動詞形態論の意味的分析をベースにして、その通時的発達の推定と言語類型論的にみた当該システムの位置づけについて考える。特にこの言語では、フィリピン型のヴォイスシステムが変化した結果、事態類別体系ともいうべき機能を担うようになったことを論じる。

 

4月29日 京都言語学コロキアム

日時:4月29日(土)13:30~

場所:総合人間学部棟 1103号室

・第一発表

発表者:神澤 克徳(京都工芸繊維大学)

タイトル:メディアを中心に見られる拡張的な連体修飾表現の分析

キーワード:連体修飾,拡張表現,意味の希薄化,メディア

備考:近年,テレビやインターネット等のメディアを中心にしばしば目にする「〜問題」(例:すまふぉの容量足りない問題),「〜件」(例:Tシャツよれよれな件)などの連体修飾表現について分析する。

・第二発表

発表者:黒田 一平(龍谷大学/京都ノートルダム女子大学 非常勤講師)

タイトル:書記体系と文法化

キーワード:文法化, 一方向性仮説, 言語変化, 文字, 書記体系, 約物 (punctuation mark)

備考:これまでの文法化研究においては、意味変化や音声・音韻的変化が重視され、文字や書記体系における変化には注目されてこなかったように思われる。この点に注目した研究として、中村 (2007) は、ラテン語et ceteraが英語etc. へ短縮され、さらにand so forthと「訓読み」される例や、唐代における漢数字「ニ」が反復記号「=(〃)」へと変化する例をあげ、文法化と平行するような、「文字」から「記号」への「記号化」の過程が考えられるのではないかと述べている。また、漢字においては、単体字が会意や形声により合体字の構成要素となる変化や(示+申> 神)、漢字から仮名への変化に、意味の一般化や喪失、生産性の増大、元の文字との分岐や重層化などの文法化と関連する性質が見られる。さらに現在のインターネットでは、文字・表記が関わる言語変化がかつてない速度で展開している。これらの事例をもとに、本発表では、文字や書記体系における変化には文法化と同じく一方向的な変化の傾向がみられることを示唆する。

 

 

2月25日 京都言語学コロキアム

日時:2月25日(土)13:30~
場所:総合人間学部棟 講義室1107 

・第一発表
発表者:高梨克也(京都大学大学院情報学研究科)
タイトル:他者の発話を理解することの生態学的価値を考慮した 発話理解モデルの提案
キーワード:環境適応,他者の認知の利用,関連性理論,アブダクション
備考:発表内容は去年12月の語用論学会でのものとほぼ同様です。語用論学会での発表要旨は以下の通りです。
従来の語用論理論では,聞き手が話し手の発話を理解することの動機の存在は自明とみなされているのに対して,本発表では,発話理解を聞き手となる主体の環境内での情報行動の一つであると考える,より広範な生態学的観点からの理論的検討を行う.具体的には,「主体B が他の主体A の観察可能な振る舞いなどから,A の認知状態についての情報を獲得することを通じて,環境についての情報を間接的に獲得し,自身の行動に利用する」という,「他者の認知の利用」(高梨2010)という現象に着目することによって,話し手の発話を聞き手が理解することの持つ,聞き手自身にとっての環境適応上の生態学的価値という視点を導入し,この視点から,関連性理論(スペルベル& ウイルソン1999)における,伝達原理と認知原理という2つの仮定を批判的に再検討することを通じて,生態学的に健全な新たな理論的提案を行う.
参考文献:(1) スペルベル, D. & ウイルソン, D. (1999)『関連性理論:伝達と認知(第2版)』(内田聖二他(訳),研究社出版),(2) 高梨克也(2010)「インタラクションにおける偶有性と接続」,木村大治・中村美知夫・高梨克也(編著)『インタラクションの境界と接続』,昭和堂,39-68.

・第二発表
発表者:杉山さやか(関西外国語大学 非常勤講師)
タイトル:日本語と英語の談話における指示と照応(仮)
キーワード:指示表現、情報構造、身体性、事態把握、カテゴリー化
備考:本発表では、日本語と英語の指示表現に関し、談話・情報構造・記憶・身体性・事態把握・カテゴリー化といった認知的観点から考察します。

12月17日 言語コロキアム

 日時:12月17日(土)13:30~
 場所:吉田南総合館 南棟 2階 講義室216 (開催場所が普段と異なりますのでご注意ください。以下の地図もご参考ください。)

・第一発表
発表者:伊藤 彰規(神戸大学大学院人文学研究科)
タイトル: 移動と状態変化の概念的平行性と英語における表現パターンの研究
キーワード: 英語,移動表現,状態変化表現,Localism,イベント統合の類型論,コーパス
備考:空間表現と非空間表現(時間・状態変化表現等)に平行性が見られることは古くから指摘がされている (Localism)。特に空間移動と状態変化の平行性は多くの理論に取り込まれている (e.g., Gruber 1965, Jackendoff 1976, 1982, 1990, Lakoff 1993, Goldberg 1995, 他)。本研究ではTalmyのイベント統合の類型論をベースに,この平行性がどの程度イベントの言語化にも反映されるのかをコーパスデータを用いて考察する。

・第二発表
発表者:伊藤 薫(奈良先端科学技術大学院大学 研究員)
タイトル:テクストにおける結束性と アクティブゾーンの乖離
キーワード:メトニミー、アクティブゾーン、テクスト・談話分析
備考:一定のまとまりを持つテクストや会話の中で、1つの語を異なる意味で使用することは混乱を招いたり、ユーモラスな効果をもたらしたりします。しかし、そのような場合でも自然に理解でき、不自然さが生じない場合もあります。本発表では、ある小説からメトニミーが集中している部分を対象として認知文法や選択体系機能文法の立場から分析を行い、自然さの要因として参照点の一貫性が考えられることを論じます。
KLC 地図