カテゴリー ‘KLC’ のアーカイブ
認知言語学系研究室のイベント案内

2月25日 京都言語学コロキアム

日時:2月25日(土)13:30~
場所:総合人間学部棟 講義室1107 

・第一発表
発表者:高梨克也(京都大学大学院情報学研究科)
タイトル:他者の発話を理解することの生態学的価値を考慮した 発話理解モデルの提案
キーワード:環境適応,他者の認知の利用,関連性理論,アブダクション
備考:発表内容は去年12月の語用論学会でのものとほぼ同様です。語用論学会での発表要旨は以下の通りです。
従来の語用論理論では,聞き手が話し手の発話を理解することの動機の存在は自明とみなされているのに対して,本発表では,発話理解を聞き手となる主体の環境内での情報行動の一つであると考える,より広範な生態学的観点からの理論的検討を行う.具体的には,「主体B が他の主体A の観察可能な振る舞いなどから,A の認知状態についての情報を獲得することを通じて,環境についての情報を間接的に獲得し,自身の行動に利用する」という,「他者の認知の利用」(高梨2010)という現象に着目することによって,話し手の発話を聞き手が理解することの持つ,聞き手自身にとっての環境適応上の生態学的価値という視点を導入し,この視点から,関連性理論(スペルベル& ウイルソン1999)における,伝達原理と認知原理という2つの仮定を批判的に再検討することを通じて,生態学的に健全な新たな理論的提案を行う.
参考文献:(1) スペルベル, D. & ウイルソン, D. (1999)『関連性理論:伝達と認知(第2版)』(内田聖二他(訳),研究社出版),(2) 高梨克也(2010)「インタラクションにおける偶有性と接続」,木村大治・中村美知夫・高梨克也(編著)『インタラクションの境界と接続』,昭和堂,39-68.

・第二発表
発表者:杉山さやか(関西外国語大学 非常勤講師)
タイトル:日本語と英語の談話における指示と照応(仮)
キーワード:指示表現、情報構造、身体性、事態把握、カテゴリー化
備考:本発表では、日本語と英語の指示表現に関し、談話・情報構造・記憶・身体性・事態把握・カテゴリー化といった認知的観点から考察します。

12月17日 言語コロキアム

 日時:12月17日(土)13:30~
 場所:吉田南総合館 南棟 2階 講義室216 (開催場所が普段と異なりますのでご注意ください。以下の地図もご参考ください。)

・第一発表
発表者:伊藤 彰規(神戸大学大学院人文学研究科)
タイトル: 移動と状態変化の概念的平行性と英語における表現パターンの研究
キーワード: 英語,移動表現,状態変化表現,Localism,イベント統合の類型論,コーパス
備考:空間表現と非空間表現(時間・状態変化表現等)に平行性が見られることは古くから指摘がされている (Localism)。特に空間移動と状態変化の平行性は多くの理論に取り込まれている (e.g., Gruber 1965, Jackendoff 1976, 1982, 1990, Lakoff 1993, Goldberg 1995, 他)。本研究ではTalmyのイベント統合の類型論をベースに,この平行性がどの程度イベントの言語化にも反映されるのかをコーパスデータを用いて考察する。

・第二発表
発表者:伊藤 薫(奈良先端科学技術大学院大学 研究員)
タイトル:テクストにおける結束性と アクティブゾーンの乖離
キーワード:メトニミー、アクティブゾーン、テクスト・談話分析
備考:一定のまとまりを持つテクストや会話の中で、1つの語を異なる意味で使用することは混乱を招いたり、ユーモラスな効果をもたらしたりします。しかし、そのような場合でも自然に理解でき、不自然さが生じない場合もあります。本発表では、ある小説からメトニミーが集中している部分を対象として認知文法や選択体系機能文法の立場から分析を行い、自然さの要因として参照点の一貫性が考えられることを論じます。
KLC 地図

10月29日 京都言語学コロキアム

日時:10月29日(土)13:30〜
場所:総合人間学部棟 1103講義室(いつもの会場と同じ建物の同じ階の教室です)

  • 第一発表
    • 発表者:増田 将伸(京都産業大学)
      タイトル:前提を共有しない相手に対するリスナーシップ—授業内グループワークのデータから—
      キーワード:会話分析、(非)協調、受け流し、グループワーク、合意形成、前提の共有
      備考:大学の英語の授業内で行われた合意形成型のグループワークで、あるメンバー(Aさん)の発話に他のメンバーが反応する様子を会話分析の手法により分析する。Aさんは、ワーク内でどの局面に現在あるか、あるいは何に優先的に取り組むかという点について他のメンバーの指向に注意を払っておらず、その様子がAさんの言動にも表れている。そのため他のメンバーと目的意識を共有しておらず、他のメンバーから浮いているように見える。このような状況で他のメンバーは、Aさんに反対の姿勢を示したりAさんを無視したりすることはなく、しかしAさんと協調はせずにAさんを受け流すような反応をしている。発表ではこのような相互行為的過程を示し、このようなリスナーシップの理論的射程をも議論したい。
  • 第二発表
    • 発表者:小松原 哲太(立命館大学)
      タイトル:無関心のレトリック—カテゴリー化の修辞性と提喩の表現効果—
      キーワード:詳述性、上下関係、換喩的イメージ
      備考:ある事柄に対して無関心であることを言葉であらわす一つの方法は、抽象的でおおまかな言い回しをあえて使うことです。本発表では、認知言語学にもとづくレトリック研究の立場から、種で類をあらわす提喩が、無関心という主観的な評価を示す修辞的効果を生み出すことがあることを論じます。

 

7月3日 京都言語学コロキアム

日時:7月3日(日)13:30〜
場所:総合人間学部棟 1103講義室(いつもの会場と同じ建物の同じ階の教室です)

  • 第一発表
    • 発表者:川上 夏林 (京都大学大学院)
    • タイトル:状態性のデキゴト意味論―フランス語の心理動詞・感覚動詞の包括的研究—
    • キーワード:他動性、因果関係、コントロール性、物理性、比喩的拡張、状態性、topicality、与格構文、意識の主体
    • 備考: 本研究はフランス語の心理動詞構文、感覚動詞構文の包括的な研究を目的とする。語彙意味論では主に、経験者が目的語に置かれる語彙的心理動詞が議論の中心にあり、心理動詞は特異な使役性を持つ動詞として位置づけられてきた。しかし、経験者が与格表示されるタイプの構文や痒みなどを表す構文まで広げて観察してみると、類型論的にも心理・感覚を表す構文が状態性に関わる現象であることが分かる。また、心理・感覚動詞構文の成立に目を向けてみると、それらが動詞の比喩的拡張と深く結びついていることが見えてくる。心理、感情など内的デキゴトを描写する構文の背後には、従来の因果性に基づいたイベントモデルには還元することのできない使役や状態の問題、それと密接に関わるであろう比喩の問題が隠れていると考えられる。本研究では、因果性に基づくイベントモデルとは別に、階層性に基づくイベントモデルを仮定することで上記の問題について考察を行なう。イベントモデルの多層性からヴォイス研究に対する理論貢献を目指すだけはなく、文法と比喩の接点も探ってみたい。
  • 第二発表
    • 発表者:城 綾実(京都大学 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)科学コミュニケーショングループ)
    • タイトル:認知症高齢者グループホームにおけるケアカンファレンスの相互行為分析:判断・評価の再生産と身体的表現に着目して
    • キーワード: 介護職員、理解共有、意思決定、会話分析、物理的・規範的構造、意見・見解の交渉空間、主張態度の調整
      備考: 認知症高齢者の方々が生活するグループホームでは,利用者ひとりひとりに応じたケアをしていくために,介護職員は多様な作業を行っている.24時間ケアができるよう組まれたシフト制勤務では,利用者の様子が日によって異なる場合もあり,介護職員らが得る利用者の情報や個々の理解が微妙に異なる可能性が(一時的であれ,)ある.そのような介護職員たちが情報や理解を共有し合う機会のひとつが,月例ケアカンファレンスである.本発表では,介護職員が利用者の様子(機嫌が良い/悪い,食欲・怪我の様子など)を報告してから,当座どのような方針でケアをしていくのかの決定に至るまでの過程に着目し,会話分析に基づいた相互行為分析を用いて,グループホームとしての方針を決定するための資源となる諸現象の構造を明らかにしていく.特に,個々の介護職員が利用者に関する報告をする際の判断や評価が組織内のそれとして再生産される点と,判断や評価を述べながら用いられる身体的表現に絞って発表を行う.

4月30日 京都言語学コロキアム

  • 日時:4月30日(土)13:30〜
  • 場所:総合人間学部棟 1107号室
    • 第一発表
      • 発表者:秋田喜美(名古屋大学)
      • タイトル:オノマトペと顔
      • キーワード: 視線、表情、指標性、震災コーパス
      • 備考:3年前のKLCで、オノマトペが一般語よりもパラ言語特性(際立ったイントネーション・発声法、類像的ジェスチャー)を伴いやすく、その傾向がオノマトペの形態統語と相関する、という話をさせていただきました(Dingemanse & Akita 2016)。今回は、再びマルチモーダルコーパス「NHK東日本大震災アーカイブス」を用い、オノマトペに伴う話者の視線・表情の変化が上記パラ言語特性とは一部異なる分布を見せることを報告し、その記号論的示唆を論じたいと思います。
    • 第二発表
      • 発表者:濵野寛子(名古屋学院大学)
      • タイトル:名詞の多義性と助数詞の選択に関する一考察―「電話」の数え方を例に
      • キーワード:多義、イヴェント、動詞の名詞化、捉え方
      • 備考: 本発表では、「電話」を数える助数詞「本」「件」の違いを、数える話者の事物への主体的な捉え方の違いから分析する。
        助数詞の選択の違いについては、名詞の多義的性質により、数える対象が言語的に明示化されないという記述的問題が背景にある。通常「電話」を数える助数詞とされる「台」は、「電話」をモノ(“電話機”)として捉えていると考えられる。一方、「本」と「件」の使用については、従来、記述されているものの、両者の違いは明らかではない。本分析では、両助数詞を用いる際の、「電話」に対する出来事としての捉え方に注目する。そして、「本」と「件」の使用の違いについて、電話の事態における数え手の捉え方の違いから記述を試みる。