日時:2月16日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:岡久 太郎(谷口研究室D1)
タイトル:類音性を利用した和歌修辞に関する一考察: 認知言語学の観点から
キーワード:類音性、和歌修辞、偶然性、伝達者と解釈者、記号的言語観、言語理解過程
備考:
(1)
a. … 春べは花折り”かざし” 秋立てば黄葉(もみぢば)”かざし” … (萬葉集、巻二、196)
b. … 藤”ごろも” 織れるこ”ころも” …(古今集、巻十九 雑体、1002)
上記の2例において、古来より (1a) と比較して (1b) の方が押韻において優れているとされてきた。九鬼周造は、この点を「偶然性」という観点より早くから説明している。すなわち、(1b) は偶然性を有するのに対し、(1a) はむしろ必然性を有する音の類似であると九鬼は説明する。
本発表では、類音性を利用した修辞が九鬼の考える偶然性の体系内のどこに位置付けられるかについて、伝達者と解釈者との2つの立場を分け、それぞれから考えていく。
その上で、認知言語学の記号的言語観から言語理解過程に関する仮説を導出し、これが偶然性を有する歌の方がそうでない歌よりも押韻において優れているとされる理由を説明しうるということを示す。