日時:4月29日(土)13:30~
場所:総合人間学部棟 1103号室
・第一発表
発表者:神澤 克徳(京都工芸繊維大学)
タイトル:メディアを中心に見られる拡張的な連体修飾表現の分析
キーワード:連体修飾,拡張表現,意味の希薄化,メディア
備考:近年,テレビやインターネット等のメディアを中心にしばしば目にする「〜問題」(例:すまふぉの容量足りない問題),「〜件」(例:Tシャツよれよれな件)などの連体修飾表現について分析する。
・第二発表
発表者:黒田 一平(龍谷大学/京都ノートルダム女子大学 非常勤講師)
タイトル:書記体系と文法化
キーワード:文法化, 一方向性仮説, 言語変化, 文字, 書記体系, 約物 (punctuation mark)
備考:これまでの文法化研究においては、意味変化や音声・音韻的変化が重視され、文字や書記体系における変化には注目されてこなかったように思われる。この点に注目した研究として、中村 (2007) は、ラテン語et ceteraが英語etc. へ短縮され、さらにand so forthと「訓読み」される例や、唐代における漢数字「ニ」が反復記号「=(〃)」へと変化する例をあげ、文法化と平行するような、「文字」から「記号」への「記号化」の過程が考えられるのではないかと述べている。また、漢字においては、単体字が会意や形声により合体字の構成要素となる変化や(示+申> 神)、漢字から仮名への変化に、意味の一般化や喪失、生産性の増大、元の文字との分岐や重層化などの文法化と関連する性質が見られる。さらに現在のインターネットでは、文字・表記が関わる言語変化がかつてない速度で展開している。これらの事例をもとに、本発表では、文字や書記体系における変化には文法化と同じく一方向的な変化の傾向がみられることを示唆する。