場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表発表者:佐藤 雅也 (谷口研究室 D1)
タイトル:「2種類の前提トリガーとその前提の処理について」
キーワード:strong presupposition、weak presupposition、presupposition failure、information update
概要:本発表では、前提という概念についての従来の研究を紹介した上で、特定の命題が共有基盤に含まれていることを求める前提トリガー (e.g. regret、againなど) が使用された場面での聞き手の処理ストラテジーについて、新たな可能性を提案するものである。話し手と聞き手の共有基盤に存在しない命題を喚起させる前提トリガーが使用されたとき、(i) 前提である命題が受容され、前提トリガーを含んだ発話の情報が新たに共有基盤に含まれる、(ii) 前提である命題が受容されず、情報の更新が行われない、という2つの可能性が論じられてきた。しかし、(iii) 前提トリガーに喚起される命題が受容されない場合であっても、その前提トリガーを含んだ発話の情報が新たに共有基盤の一部を形成する、という処理パターンが存在する可能性があり、これについて、Glanzberg (2003) と Tiemann et al. (2014) を参考にすることで論じる。
・第二発表発表者:佐藤 亜弓 (谷口研究室 D3)
タイトル:「失語症者と健常者の話法の比較〜Langackerの主体性の観点から〜」
キーワード:失語症、直接話法、間接話法、主体性、視点配置、状況主導型発話
概要:本発表では発話データベースAphasia Bankを用いて、まんが説明課題における失語症者と健常者の発話を話法に着目して比較検討し、健常者に比して失語症者は間接話法よりも直接話法を多用する傾向にあるということを示す。また、話法の違いに関してLangackerの主体性の観点から分析し、直接話法は失語症者にとってより発話が誘発されやすい視点配置をとった事態描写の仕方であるということを示す。