日時: 11月27日(土) 14:00~16:00*
発表者: 田中リベカ 先生 (お茶の水女子大学)
タイトル:推論に基づく言語の意味理論の検証とその工学的応用
キーワード:形式意味論、推論、含意関係、型理論、照応
要旨:
形式意味論の分野では、言語の意味理論の枠組が様々に提案されており、種々の意味現象に対する分析と予測を与えている。
ある文/談話の情報からどんな推論が可能か、特に「ある文/談話が含意する意味内容」は形式意味論の中心的な説明対象であり、意味理論の予測を母語話者の言語直観と照らし合わせて経験的に検証することが可能である。
1996年に公開されたFraCaS test suite (Cooper+, 1996) は、意味理論が説明すべき文の含意を、文ペアとその間の含意関係の有無という形式で整理したものである。
これは、個々の意味理論の予測を検証するベンチマークとして用いることができるだけでなく、工学的には意味解析システムの評価にも用いられており、日本語版の拡張データセット (Kawazoe+, 2015) も構築されている。
また、このような含意関係を、言語学での統語論・意味論の研究成果に基づき、構文解析器と自動定理証明器を組み合わせて実際に「計算」してみせるシステムも提案されている (Mineshima+, 2015; 2016)。
本発表では、これらの研究を紹介した後、より発展的な意味理論として依存型意味論 (Bekki, 2014; Bekki and Mineshima, 2017) を紹介する。これは依存型理論 (Martin-Löf, 1984) という数学の枠組みに基づく意味理論で、文に対してその意味を表す依存型理論の式を与え、論理式上での証明可能性を、元の自然言語文の含意に関する予測とする。自然言語の照応•前提といった文脈依存性をもつ複雑な意味現象がどのように分析されるのか、またその理論的予測が推論を通してどのように検証されうるのかを説明し、工学的応用を含めた今後の展望を議論する。
キーワード:形式意味論、推論、含意関係、型理論、照応
要旨:
形式意味論の分野では、言語の意味理論の枠組が様々に提案されており、種々の意味現象に対する分析と予測を与えている。
ある文/談話の情報からどんな推論が可能か、特に「ある文/談話が含意する意味内容」は形式意味論の中心的な説明対象であり、意味理論の予測を母語話者の言語直観と照らし合わせて経験的に検証することが可能である。
1996年に公開されたFraCaS test suite (Cooper+, 1996) は、意味理論が説明すべき文の含意を、文ペアとその間の含意関係の有無という形式で整理したものである。
これは、個々の意味理論の予測を検証するベンチマークとして用いることができるだけでなく、工学的には意味解析システムの評価にも用いられており、日本語版の拡張データセット (Kawazoe+, 2015) も構築されている。
また、このような含意関係を、言語学での統語論・意味論の研究成果に基づき、構文解析器と自動定理証明器を組み合わせて実際に「計算」してみせるシステムも提案されている (Mineshima+, 2015; 2016)。
本発表では、これらの研究を紹介した後、より発展的な意味理論として依存型意味論 (Bekki, 2014; Bekki and Mineshima, 2017) を紹介する。これは依存型理論 (Martin-Löf, 1984) という数学の枠組みに基づく意味理論で、文に対してその意味を表す依存型理論の式を与え、論理式上での証明可能性を、元の自然言語文の含意に関する予測とする。自然言語の照応•前提といった文脈依存性をもつ複雑な意味現象がどのように分析されるのか、またその理論的予測が推論を通してどのように検証されうるのかを説明し、工学的応用を含めた今後の展望を議論する。
*前回と同様、今回のKLCはZoomにて実施いたします。参加を希望される方は
taniguchi.info@gmail.com までご連絡ください。