認知言語学系研究室のイベント案内

1月22日 京都言語学コロキアム (KLC)

日時: 2022年1月22日 14:00~
発表者: 田中リベカ 先生 (お茶の水女子大学)
タイトル:依存型意味論の紹介
キーワード:形式意味論、依存型理論、照応
要旨:
形式意味論の分野では、言語の意味理論の枠組が様々に提案されており、種々の意味現象に対する分析と予測を与えている。
ある文/談話の情報からどんな推論が可能か、特に「ある文/談話が含意する意味内容」は形式意味論の中心的な説明対象であり、意味理論の予測を母語話者の言語直観と照らし合わせて経験的に検証することが可能である。
本発表では、形式意味論の枠組の一つである、依存型意味論 (Bekki, 2014; Bekki and Mineshima, 2017) を紹介する。
これは依存型理論 (Martin-Löf, 1984) という、単純型理論を依存型という概念で拡張した数学的体系に基づく意味論である。
文の意味表示は依存型理論の式で与えられるが、依存型理論の高い記述力により、自然言語の文脈依存性の捕捉(より具体的には、照応・前提現象を含む文の意味記述)が可能である点が特長の一つとして挙げられる。
依存型意味論の理論の予測は、自然言語文対の推論関係に対して与えられる。すなわち、自然言語文 A が自然言語文 B を含意するとき、A の意味表示の式 A’ から、B の意味表示の式 B’ を証明する(演繹する)ことができれば理論の予測は正しく、そうでない場合、理論は反証される。
本発表では、Eタイプ照応を例に、依存型意味論において自然言語の文脈依存性がどのように分析されるのか、またその理論的予測が推論を通してどのように検証されうるのかを解説する。

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