認知言語学系研究室のイベント案内

5月27日フォーラム

氏名: 近 大志 (谷口研D2)
タイトル: 複合名詞構文にまつわる、意味の変異性の問題について
キーワード: 複合名詞、構文、ドメイン
要旨:複合名詞 (NN) を構文として規定する際、事例間における意味の変異性という問題がある。例えば、[X+garden]の事例 (e.g. rose garden, rock garden, beer garden) はそれぞれ意味的な変異が大きいため、[X+garden]の意味は「Xと何らかの関係を持つgarden」という抽象的な規定に留まる。そのため、複合名詞の使用に寄与する言語知識の説明という観点では、規則ベースの理論 (e.g. Levi 1978) に対する構文文法的なアプローチの優位性が見い出しにくいとされる (cf. 谷口 2017; 早瀬 2020)。とはいえ、例えば[x+war]や[x+teacher]のように具体的な意味が想定可能なパタンも存在するため、あらゆる複合名詞構文が上の問題に遭遇するわけではない。そこで、本発表では、事例間にある「意味の変異性」が何に基づき、変異の多少が何を基準として決定されるのか明らかにした上で、上記の問題を再検討する。

5月13日 フォーラム

日時:5月13日(木)13:00〜
実施形態:Zoomにて実施
  • 発表者:山﨑由佳(谷口研 M1)
  • タイトル: (研究計画)ソーシャルメディアにおける複数のハッシュタグの使用
  • キーワード:ソーシャルメディア,コーパス
  • 概要:ソーシャルメディアにおける「ハッシュタグ」の機能に関しては,pragmaticな機能として“experiential”, “interpersonal”, “textual”の3つを抽出する研究が存在する(例: Zappavigna 2015).また,投稿におけるタグの位置については,“infix”, “prefix”, “suffix”の3つを使って考える研究も存在している(例: Tsur and Rappoport 2012, Mahfouz 2020).ここで,投稿にタグが複数存在する場合は,タグ全体の中における各タグの機能はどのようなものか,という疑問がある.さらに,ソーシャルメディアを見ると,タグが「本文」に対する解釈の指示を与えているに止まらず,複数のタグを用いて構成された文字列自体がメイン(の一部)となっているのではないか,と考えられるような例が見出される.具体的な研究テーマとして,(1) タグが複数配置される場合における,タグの順番についての容認性や選好性の調査,(2) 複数のタグが存在する場合,どのような機能を持つタグがどのような位置にくる傾向があるのかの調査,を考える.

5月6日 フォーラム

日時:5月6日(木)13:00〜
実施形態:Zoomにて実施
  • 発表者:徳渕樹(谷口研 M1)
  • Title:Repositioning the Preceding Studies in the Modeling of a Polysemous Network in a Single Lexical Item: A Critical Reflection on over and Others
  • Keywords: polysemy, homonymy, primary sense, extension, synchrony, diachrony, usage-based model
  • Abstract: The purpose of this research is to criticize the preceding studies in the modeling of a polysemous network in a single lexical item, chiefly based on that of English particle over (Brugman, 1981; Dewell, 1994; Lakoff, 1987; Tyler & Evans, 2001). Here we will narrow the issue into three points: uncertainty of the primary sense, difficulty in distinguishing polysemy and homonymy, and  incongruity caused by the concept of extension. Taking these three points into account, we will finally reconsider the problem in terms of the usage-based model, conforming to the argument in Taylor (2012).

*発表は日本語にて行います。

4月22日 フォーラム

日時: 4/22 13:00~ (zoom開催)

タイトル:日本語における道具名詞の対格化 -「ハサミを切る」のような例の考察-

発表者:冨岡侑央(谷口研 M1)

キーワード:道具名詞、メトニミー、目的役割

概要:「ハサミで何かを切る」という意味で「ハサミを切る」ということがある。同様に「金槌を打つ」や「ミキサーを混ぜる」など、通常は格助詞「で」を伴うはずの道具名詞が「を」を伴って現れることがある。しかしこのような構文交替は全ての道具名詞で可能なわけではく「薬で病気を治す」という意味で「*薬を治す」、 「ほうきで掃除する」という意味で「*ほうきを 掃除する」とは言えない。本研究ではこうした道具対格化構文がどのような条件ならば許容されるのか調査した。

2/15 自主ゼミ

日時: 2/25 13:00~ (zoom開催)
タイトル: 複合名詞意味研究 –N難民を例に–
発表者: 近 大志 (谷口研D1)
キーワード: 複合名詞,認知言語学,N難民
概要: 複合名詞 (N+N) は叙述要素を含まないため,意味の取り扱いが困難だとされる (cf. Downing 1977; Jespersen 1942).本発表の目的は,認知言語学 (Fillmore&Baker 2015; Sullivan 2012) の知見を援用し,(i)意味記述における一般性と具体性の両立  (ii)内心複合語および,多数の文献で外心複合語とみなされ,例外事例とされた比喩的複合名詞 (cf. Benzces 2006; Jackendoff 2010) に対する統一的説明 の2点が達成できるような理論的枠組みを提示することにある.この目的に従い,発表者は (a)高い生産性 (b)名詞間の多様な意味関係 (c)字義/比喩の連続性 を特徴とする複合名詞のパタン「N難民 」(e.g. コソボ難民,地震難民,ネカフェ難民,マスク難民) を具体例として考察する.