認知言語学系研究室のイベント案内

6月24日 京都言語学コロキアム

日時:6月24日(土)13:30~

場所:総合人間学部棟 1107号室

・第一発表

発表者:許 逸如(国立台灣大学語言學研究所 (Graduate Institute of Linguistics, National Taiwan University) )

タイトル:Seeing Sounds: The Multimodal Metaphor of Visualized Sounds/Music in Music-themed Manga and Auditory-related Print Advertisements

キーワード:multimodal metaphor, synesthetic metaphor, musical-themed manga, print advertisement

備考:Multimodal metaphor studies investigate metaphors from multimodal discourse, including advertising, films, comics, music, etc. However, there is scant literature dealing with nonverbal cross-sensory representation between sounds/music and visual media. This study aims to bridge this gap through the examination of how sounds/music is represented in visual media, using Japanese music-themed manga and advertisements as examples. The study includes several genres of Japanese music-themed manga, including classical music, traditional Sokyoku, rock, and heavy metal music. In addition, the study investigates 130 auditory-related print advertisements, including advertisements of earphones, earplugs, speakers, etc. Our significant findings are described as follows. First, visual elements can represent invisible sounds/music by using metaphors, metonymies and symbols. Second, different genres of music exhibit different figurative representations. In fact,  different manifestations of visualized music somehow correspond with sound symbolism and “Bouba-kiki effect” (Ramachandran & Hubbard 2001). Also, the manifestation is based on the physical facts of sounds/music. Third, the results also show multi-modality phenomenon entailing synesthetic experiences. The study concludes with the statement that it sheds light on our overall understanding of the relationship between multimodal metaphor of sounds/music and visual media, and between metaphors and cross-sense synesthesia. It contributes to the theories of both multimodal metaphors and the relationship between metaphor, cognition and visual arts.

・第二発表

発表者:木本幸憲(名古屋大学人文学研究科日本学術振興会特別研究員PD)

タイトル:フィリピン型ヴォイスから事態類別体系へ:アルタ語の動詞形態論の歴史的発達と類型論的位置づけ

キーワード:アルタ語(ISO-639: atz)、フィリピン型ヴォイス体系、動詞形態論、事態認知、オーストロネシアの比較言語学

備考:本発表では、フィリピンのルソン島で話されているアルタ語の動詞形態論の意味的分析をベースにして、その通時的発達の推定と言語類型論的にみた当該システムの位置づけについて考える。特にこの言語では、フィリピン型のヴォイスシステムが変化した結果、事態類別体系ともいうべき機能を担うようになったことを論じる。

 

6月22日 言語フォーラム

日時:6月22日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:井上優大 (谷口研M2)・春日悠生 (谷口研M2)・神原一帆 (谷口研M2)・佐藤雅也 (谷口研M2)・田中悠介 (谷口研M2)
タイトル:俺の言語観がこんなに科学的なわけがない
キーワード:科学、方法論
備考:現代の言語学では科学的であることが求められたり、良しとされることが多いが、その際の「科学」は人によって相当に異なる用いられ方をしている。本発表では、一般的な「科学」観と、言語学が科学をどう捉えてきたかを概観し、言語学が「科学」とどう向き合うべきかを検討する。

6月15日 言語フォーラム

日時:6月15日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:永井宥之(谷口研D1)
タイトル:「-た」の情報源と長期記憶
キーワード:長期記憶、ムードの「-た」、エビデンシャリティ、ミラティビティ
備考:日本語の動詞「-た」形には、過去や完了というテンス・アスペクト的な用法だけでなく、いわゆる「発見」や「想起」といったムード的な用法の存在が指摘されている。本発表ではこの「-た」について、話し手がどのような情報をもとに文を述べるかというエビデンシャリティの観点から考察を加える。
・第二発表
発表者:井上拓也(谷口研D2)
タイトル:アイヌ語沙流方言の場所表現における「場所名詞」に関する研究
キーワード:アイヌ語沙流方言,アイヌ語口承文芸コーパス,場所名詞,参照点構造
備考:アイヌ語の文法的制約である「場所表現 (中川 1984)」で現れる「場所名詞(位置名詞を伴わずに格助詞を後置している名詞)」について,ウェブ上で公開されている「アイヌ語口承文芸コーパス」(アイヌ語沙流方言)から場所名詞を収集し,形態的な特徴に基づいてそれらを3つに分類する.場所名詞のいずれの場合も他の概念との依存関係をその概念構造の中に有していることを論じた後,結論として位置名詞を伴う名詞句と同じ対立関係あるいは参照点構造(Langacker 1993)を概念構造として共有することを主張する.(日本言語学会第154回大会での口頭発表の練習です.)

6月1日 言語フォーラム

日時:6月1日(木)13:00~
場所:総合人間学部棟 1107号室
・第一発表
発表者:井上優大(谷口研M2)
タイトル:アクセス・活性化モデルの精緻化に向けて
キーワード:認知文法、アクセス・活性化モデル、情報構造、焦点、新情報・旧情報
備考:Langacker (2012) は、それまでの認知文法の合成的なモデルを補完するものとして、アクセス・活性化モデル(access-and-activation model)の素描を提示するものである。アクセス・活性化モデルは、伝えたい概念構造全体(target conception)を注意の枠(Chafe (1994) のイントネーション・ユニットに対応する)ごとに活性化していくことで網羅するという、談話や言語の処理の動的な側面を重視したモデルである。Langacker (2012) では、アクセス・活性化モデルに基づき、焦点や省略などの現象を認知文法の説明対象に包摂するための方向性が示されているが、枠組み自体が素描に過ぎず、議論の粗も散見される。本発表では、その問題点を指摘し、精緻化の方向性を検討する。

 

・第二発表
発表者:田丸歩実(谷口研D3)
タイトル:苔の絨毯、踊る花:比較と指示の比喩について
キーワード:ジャンル、隠喩、直喩、行為、構文
備考:比喩はさまざまな構文で実現される。この使い分けをジャンルとの関係から論じる。

5月25日 言語フォーラム

日時:5月25日(木)13:00~

場所:総合人間学部棟 1107号室

 
・第一発表

発表者:田中悠介(谷口研M2)

タイトル:話し手の視点を受け手はどのように理解しているか?

キーワード:視点、メンタル・シミュレーション

備考:久野 (1978) によれば,日本語の授与動詞「やる/くれる」は,話し手の視点を寄せる対象が主語が与格目的語かによって使い分けられる。しかしこれはあくまで話し手に関しての制約であり,受け手がこの違いをどのように理解するかは明らかにされていない。本研究では,受け手は両者の視点の違いを,視覚的なメンタル・シミュレーションの違いによって理解しているという仮説を立て,これを検証する。

 
・第二発表

発表者:佐藤雅也(谷口研M2)

タイトル:焦点構造による省略現象への影響

キーワード:語用論的前提、焦点、省略、再生課題

備考:Lambrecht(1994)によると、語用論的前提(e.g. 「彼はXを買う」という命題)が話し手と聞き手との間に共有されているとき、話し手は前提の変項Xに当てはまる要素を「話し手が伝達したい内容(焦点)」として発話するとされている。ここから、語用論的前提の変項に当てはまる要素は話し手に省略されず、それ以外の要素は省略される場合とされない場合があるという仮説が考えられる。これを確かめるために再生課題(文章の暗記、再生)を行った結果、実験参加者は語用論的前提の変項に当てはまる要素は省略せず、それ以外の要素を省略する傾向が確認され、仮説をサポートする結果が得られた。この実験結果により、省略現象をLambrecht(1994)が言及する焦点の観点から省略現象の説明が可能となり、久野(1978)で言及されるような新情報としての焦点という定義からの省略現象の説明は適切ではないと考えられる。