ようこそ認知言語学系研究室Webサイトへ
ようこそ、京都大学大学院 人間・環境学研究科 認知言語学系研究室へ。

当研究室では、「言語は人間の身体化された認知能力と運用能力に深く根差した存在である」という認知言語学的な視点から、言葉と言葉の背後に存在する認知のメカニズムの解明を目指しています。

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今後の予定

    5月26日 言語コロキアム

    日時:5月26日(土)13:30~
    場所:総合人間学部棟 1107号室

    ・第一発表発表者:林智昭(近畿大学非常勤)
    タイトル:「followingの前置詞的用法について」
    キーワード:文法化、意味の漂白化、動詞派生前置詞
    概要:本発表では、(主に記述文法を中心とする)先行研究の議論を踏まえつつ、前置詞的振る舞いをするfollowingを通時的・共時的に観察し、文法化の観点から考察を行う。

     

    ・第二発表発表者:山崎香緒里(お茶の水大学大学院),岡久太郎(京都大学大学院)
    タイトル:「多義語を用いた新奇表現の解釈―日本語を母語とする英語学習者を対象に―」
    キーワード:新奇表現 解釈 定着度 構文文法 日本語を母語とする英語学習者
    概要:本発表では、新奇表現の解釈に、話者がすでに獲得している慣習的表現の構文スキーマがどのように関わるのかをそれぞれの定着度の観点から議論する。用法基盤の言語学では、話者の言語理解と産出に構文スキーマが関わっていることは、広く受け入れられている。Taylor (2012)は、新奇表現を解釈する際、話者はすでに獲得した用法とのアナロジーを用いていると指摘している。しかし、このことは実験的に示されたわけではない。本研究では、英語動詞CUTを例に、話者が新奇表現を解釈する際、どのように構文スキーマが用いられているのかを考察した。

    実験は、実験1、実験2が、それぞれ日本語を母語とする英語学習者30名を対象に行われた。実験1では、各学習者に対して、“cut the rope”のような慣習的表現を、どの程度聞き慣れているか、それらを具体的にどのように理解しているかを回答させた。実験2では、“cut the name”のような新奇表現を提示し、実験1で使用した慣習的表現のいずれと似ていると思うかをその理由とともに記述させた。これらの結果から、英語学習者が新奇表現を解釈する際に、どの定着した構文を、どのようにアナロジー的に用いているかを考察する。

    5月24日 言語フォーラム

    日時:5月24日(木)13:00~
    場所:総合人間学部棟 1107号室
    ・第一発表
    発表者:石田 育子 (谷口研究室 M2)
    タイトル:「日本語教育における認知言語学の応用可能性〜ラレル構文とテモラウ構文の導入法の提案〜」
    キーワード:応用認知言語学、日本語教育、受身文、受益表現
    概要:日本語教育の現場では、ラレル構文は受身文として、テモラウ構文は授受表現の一部としてそれぞれ別個に教えられることが通常である。しかし、ラレル構文とテモラウ構文が記述する事態は構造的に類似しており、これらを切り離して教授することは母語話者の言語使用の実態に沿わないように考えられる。本発表では、認知言語学の知見を日本語教育の場に還元させることを目指し、その試みの1つとして2つの構文が体系的に教えられる可能性を提示する。

    ・第二発表
    発表者:井上 拓也 (谷口研究室 D3)
    タイトル:「知覚を促すデザインとしての言語—「見せ方」の意味論を生態学的言語観から再考察する」
    キーワード:エコロジカル・リアリズム,見せ方の意味論,アフォーダンス理論,フレーム意味論
    概要:生態(心理)学的立場では,「意味」すなわち関係性としてのアフォーダンスあるいは(生態学的情報)は言語表現によって伝達しうるものではなく環境の中で特定される(Gibson 1979: 257, Reed 1996: 155-156, 河野 2003: 58)。この立場では,ソシュール的記号観に基づく従来の(認知的)言語学のように「言語表現の意味」をそのまま表現対象のアフォーダンスの反映としてみなすことはできない。それに対して本発表では,アフォーダンス理論におけるノーマン(2011)で提示された「知覚を促すデザイン=シグニファイア」の概念や,有元・岡部(2008)の社会的デザインの議論を参考にしつつ,言語表現を社会的デザインを基盤とする「知覚を促すデザイン」として記述することを提案する。その上で,生態心理学的立場から提示された本多(2006)などの言語分析を対象に,各言語表現がどのように“デザイン“として機能しているのかを再考察し,生態学的観点からの一貫性のある説明の可能性を探る。

    5月17日 言語フォーラム

    日時:5月17日(木)13:00~
    場所:総合人間学部棟 1107号室
    ・第一発表
    発表者:近 大志 (谷口研究室 M1)
    タイトル:「スウェーデン語動詞övertalaの意味研究」
    キーワード:スウェーデン語、含意、名詞の意味、クオリア構造
    概要:本研究では、スウェーデン語の動詞övertala(説得する, 英語のto persuadeに相当) の語義・構文についての包括的な記述を目指した。
    また、調査の段階で生じた2つの疑問を提起し、それらの回答を試みた。
    Q1. övertalaは、説得内容の実行を含意するのか?
    方法: övertala NP att VP (persuade NP to VP)について、例文テスト等から含意性を検証する
    A1: övertalaは説得内容の実行を含意する。
    Q2. övertala NP1 till NP2 (tillは前置詞)という構文において、どのような説得内容が可能か?
    方法: コーパス調査で得られたNP2を事象を喚起する名詞(事象名詞、影山(2014)と、そうでない名詞(個体名詞、ibid.)に分類する。その後、それぞれの名詞類について独立した考察を行う。
    A2: 事象名詞は当該の事象を表し、個体名詞が表す事象はクオリア構造 (Pustejovsky(1995), 小野(2005))によって記述・予測が可能である。

     

    ・第二発表
    発表者:神原 一帆 (谷口研究室 D1)
    タイトル:「フレーム意味論にもとづいた名詞の分析:Killingフレームを例に」
    キーワード:フレーム意味論,FrameNet,名詞の意味,コーパス
    概要:本研究では,名詞が状況の言語化に与える影響をフレーム意味論の観点から分析する.フレー ム意味論において語の意味は,その語が喚起する状況の部分を表すものとしてモデル化される (Fillmore 1982, 1985, 2003).しかしながら,動詞以外の要素が状況の言語化に与える影響は十分に議論がなされていない.よって,本研究ではある典型的な状況が言語化される際に,名詞がどのように使用されているのかを検討した.具体的には動詞 kill の目的語に現れる動物名詞の種類に応じて Killing フレームのどの要素が言語化されるのかを分析した.その結果,名詞の目的語の種類に よって言語化される要素に差が観察された.この結果から,名詞の意味には「ある特定の状況において,どのような役割を果たすのか」という情報が含まれる可能性が示された.