ようこそ、京都大学大学院 人間・環境学研究科 認知言語学系研究室へ。

当研究室では、「言語は人間の身体化された認知能力と運用能力に深く根差した存在である」という認知言語学的な視点から、言葉と言葉の背後に存在する認知のメカニズムの解明を目指しています。

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平時、研究室の運営のために用いておりますメールアドレス  taniguchi.info_at_gmail.com (_at_ → @)  へ宛てられたものは、世話係および渉外係を担当する当研究室の院生が閲覧・対応しております。
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今後の予定

7月10日(木)フォーラム

日時:7月10日(木)13:00〜
場所:総合人間学部棟 1107号室およびZoom
タイトル:X is more Adj than Y PP 構文の構文文法アプローチ
キーワード:比較構文、形容詞、省略
発表者:樫本拳斗(谷口研D1)
概要:本発表では以下のような一種の比較構文を分析対象とする。

(1) a. 文脈:Dumbledore (me) は,Voldemort との関係を Harry に語るには十二歳も十一歳と変わらず幼すぎると思い,真実を伝えるのをためらった。
“Well, it seemed to me that twelve was, after all, hardly better than eleven to receive such information.
(Harry Potter and the Order of Phoenix ; 下線は発表者による(以下同様))

b. 文脈:Harry が使う「半純血のプリンス」の教科書を巡り,役立つ反面危険性を疑うHermione と対立。Ron (he) は Harry を擁護し,Hermione が Prince を嫌うのは魔法薬の腕が彼に劣るからだと指摘する。
“That was different,” he said robustly. “They were abusing it. Harry and his dad were just having a laugh. You don’t like the Prince, Hermione,” he added, pointing a sausage at her sternly, “because he’s better than you at Potions —”
(Harry Potter and the Half-Blood Prince)

(1a, b) は一見すると普通の比較構文の思われる。しかし,比較構文で使用される than 以下の構造で言及されているような「省略」や「削除」といった分析では不十分な点がある。

(i) than 以下の構造は主節で示されている要素を省略・削除が適応されたものと考えられている。しかし,分析対象は形容詞とその補部要素との間に比較対象 than Y が生起しているため,省略・削除分析は適応できない。

(ii) than 以下に生起する構造が節ではなく,単一の要素である場合は句比較と呼ばれthan は前置詞の一種として分析が成される。しかし,分析対象は形容詞とその補部の間にthan 句が生起する。than 句以外の前置詞が形容詞とその補部の間に生起する文構造は非文法的であるためアドホックな記述となってしまう。

以上の点を踏まえ,省略・削除といった変形操作を仮定せず,< X is more Adj than Y PP> という形式が持つ意味・機能をコーパス分析を通して構文文法の観点から分析を行う。本発表ではケーススタディとして 分析対象 <better than Y at doing/ NP> と比較構文 <better at doing/ NP than Y> に生起する要素の違いから分析対象に固有な意味・機能の考察を行う。

7月3日(木)フォーラム

日時:7月3日(木)13:00〜
場所:総合人間学部棟 1107号室およびZoom
タイトル:換喩と属格構文を動機づける参照点構造の多層性
キーワード:換喩、参照点構造、際立ち
発表者:冨岡侑央(谷口研D3)

6月26日(木)フォーラム

日時:6月26日(木)13:00〜
場所:総合人間学部棟 1107号室およびZoom
タイトル:no matter構文の文法的性質にかんする調査・考察
キーワード:no matter、構文文法、because X構文、スキーマ
発表者:高田直人(谷口研M2)
概要:本発表では、英語のno matter NP構文について扱う。修士論文では、当該の構文を通時的・共時的両側面から扱う予定である。本発表では、そのうち共時的な側面に焦点を当て、no matter NP構文が関連するno matterの諸構文とは独立した構文であることを金谷(2019)をはじめとする先行研究や、コーパス調査を用いて主張し、no matter NP構文の文法的な特徴について記述することを目標とする。

6月19日(木)フォーラム

日時:6月19日(木)13:00〜
場所:総合人間学部棟 1107号室およびZoom
タイトル:競合する構文間の意味的な関係性に関する考察
キーワード:競合、交替、構文ネットワーク、ロシア語、受動
発表者:谷浦淳也(谷口研M2)
概要:発表者は修士課程の研究で,ロシア語にみられる複数の受動構文において,受動性が生起する仕組み,および受動性を共有するそれらの構文間にみられる意味的な関係性についての考察に取り組んでいる。本発表では,構文文法における一般化および構文ネットワークに関する議論を踏まえ,異なる形態統語的構造をもつ構文が競合する場合に,それらの構文の間にどのように意味的な関係性が生起するのかを検討する。

6月12日(木)フォーラム

タイトル:否定形式を用いたメタファー表現の量的分析
キーワード:メタファー、否定、直喩、比喩指標、構文化
発表者:岡田純音(谷口研M2)
概要:否定形式を用いたメタファー表現の先行研究では、比喩的解釈が発生するメカニズム、比喩的解釈を喚起しうる否定形式、談話における機能など、様々な側面について分析が行われてきた。本研究ではこの中でも形式面に着目し、現代日本語のコピュラの否定文に「から」や「けど」が加わった表現が、メタファーの形式として構文化していることを検証する。分析では、先行研究における、(ⅰ)否定辞を比喩指標としてとらえて否定形式を用いたメタファー表現を直喩の一種とする観点、(ⅱ)直喩を修辞的比較としてとらえて直喩の修辞性には段階性があるという観点を踏まえたうえで、コーパスを用いて量的調査を実施した。

6月5日(木)フォーラム

タイトル:関係名詞の比喩的使用における文法的特徴―「右腕」のコーパス調査を通して―
キーワード:メタファー、メトニミー、関係名詞、種別名詞、A/D配置
発表者:角出 凱紀(谷口研D3)
概要:本研究では、メタファーが依存的述定 (dependent predication) に適用され、メトニミーが自律的述定 (autonomous predication) に適用されるというCroft (1993) の指摘をもとに、関係名詞「右腕」の比喩的用法における文法的な振る舞いについて仮説を立て、コーパス調査によってその検証を行う。調査の結果、「右腕」がメタファー的に使用される際には非メタファー的用法と比べてその項を明示しやすい傾向にある一方で、メトニミー的用法に特有の文法的特徴らしきものは確認されなかった。
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