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京都言語学コロキアム(KLC)

日時:6月7日(土)13:00〜 場所:総合人間学部棟 1107号室およびZoom (参加を希望される方は taniguchi.info@gmail.com までご連絡下さい) 発表者:佐川寛知 先生(神戸大学) タイトル:「それって本当に彼が言ったことなの?」:引用表現研究における〈意図〉と〈公共性〉の再検討 キーワード:引用表現、公共性、多値論理、意図性 概要:通常、発話された文が示す事態は、発話者の認識を反映したものとして理解される。例えば、「俺はイギリス共和国連邦の天皇だぞ」と発話すれば、この文の示す事態を当該発話者が抱いたものとして理解される。しかし、引用表現の典型例である「引用文」は、文全体の発話者である引用者の事態認識が被引用者の事態認識を内包した入れ子構造をとる。例えば、引用文「俺はイギリス共和国連邦の天皇だぞって太郎が言ってた」は、主節〈太郎が―言った〉によって引用者の認識を示し、同時に引用節〈俺はイギリス共和国連邦の天皇だぞ〉によって被引用者の認識をも示す。また、引用節は主節の真偽値とは別に独自の真偽値をもつ。このように、引用文は通常の文よりも複雑であり、意味や表現 […]

5月15日(木)フォーラム

日時:5月15日(木)13:00〜 場所:総合人間学部棟 1107号室およびZoom タイトル:二重の他者指向性を持つ発話と聞き手行動―文脈、響鳴、スタンスの視点から― キーワード:外部指向性、オープンコミュニケーション、聞き手行動、響鳴、スタンス 発表者:福田 千紘(谷口研 M1) 概要:本発表では、料理番組をはじめとする対話型の情報提供コンテンツを、複数の話者が第三者に何かを共同で説明する日常的な場面の延長線上に位置づけ、オープンコミュニケーションと日常会話の両面から「聞き手行動」の分析を行う。具体的には、説明を促す「知っている聞き手」の確認要求が、話し手から二重の他者指向性を持つ発話を引き出し、話し手・聞き手と第三者の社会認知的連関を構築する仕組みをDu Bois(2014)の対話統語論を用いて明らかにする。これにより、響鳴を通じて会話の展開や方向付けに積極的な役割を果たし、スタンスの調整によって単なる情報のやりとりを超えた社会的な関係性の構築や維持に貢献している「聞き手行動」の多層性を示すとともに、オープンコミュニケーションと日常会話の研究の接点を切り開くことを試みる。