認知意味論 (シリーズ認知言語学入門 (第3巻))

ヒトは必要に応じて、文が使われた場面や自らの経験・記憶などを想起し、さらには主体的に推論を働かせながら、能動的に意味内容を創り出している。文の文字通りの意味は、そこでは単なる手がかりの役を果たしているに過ぎない。新しい言語観を背景に、数々の興味深い成果をあげる認知言語学の、はじめての入門シリーズ。
「本書は、認知言語学のアプローチによる意味論の入門書である。内容は、欧米および日本における研究を紹介しながら、認知意味論の考え方を示すというものである。認知意味論の研究は多岐に亘るが、できるだけ網羅的に様々なトピックをカバーするようにつとめた。また、諸研究者の研究をそのまま紹介するのではなく、それらを批判的に検討しながら、各執筆者自身の視点からまとめなおした上で提示するようにした。
各章の最後には、さらに研究を進めたい人のために文献案内をつけてある。文献の性格に差がある場合は、概論的なものを最初に挙げている。辞書などの資料は一番最後に挙げている。文献案内の後には、いくつかの練習問題を載せている。問題の中には、各章の理解を確かめるもののほかに、発展的な問題も入れてある場合がある。そのようなものがある場合は、一番最後に載せてある。」(本書「はじめに」より)