11月30日 フォーラム

 

日時:11月30日(木)15:00〜
場所:総合人間学部棟 1107号室およびZoom

(参加を希望される方はtaniguchi.info_at_gmail.com までご連絡下さい (_at_→@) )

 

・第一発表

 

タイトル:カテゴリー化から見た「第 2 の X」
発表者:角出 凱紀 (谷口研 D2)
概要:本研究は、「第 2 の X」という表現についてカテゴリー化 (e.g. Langacker 1987) の観点から論じることを目的とする。通常「第 2 の X」によって指示されるのは、複数存在する X の指示対象の中で何らかの順序において 2 番目のものである (e.g. 第 2 の理由/第 2 の都市/・・・)。しかし、「第 2 の大谷翔平」「第 2 のツイッター」「第 2 のふるさと」のように、当該表現には必ずしもX が複数の指示対象を持たない事例が観察される。本研究では、Benveniste (1948) が指摘する序数詞の「補完機能」から、これらの非構成的な「第2 のX」がX をプロトタイプとするカテゴリーを新たに形成したうえで、指示対象を当該カテゴリーの拡張事例として提示するものとして分析することを提案する。その上で、「ほぼ X」「立派なX」等のヘッジ表現 (Lakoff 1973) との比較を通して、当該表現の特徴について考察する。本研究は、「第 3 のビール」「第 4 の壁」といった類似表現の分析にも援用可能なことが期待される。

 
・第二発表

 

タイトル:道具目的語構文から考えるヲ格の意味と機能
発表者:冨岡 侑央 (谷口研 D1)
概要:本研究の目的は道具目的語構文の容認性を予測するための条件について認知言語学の観点から考察することである。例えば「ハサミで何かを切る」という意味で「ハサミを切る」という表現が使われることがある。このように通常はデ格を伴って現れるような道具名詞 がヲ格を伴って現れるような構文を
道具目的語構文という。しかし全ての道具名詞でこうした交替が可能なわけではなく、例えば「洗剤で何かを洗う」という意味で「*洗剤を洗う」と言うことはできない。また道具目的語構文は「ハサミを切る音」のような連体修飾節内で容認されやすいことが知られている。本研究では、名詞の「道具らしさ」と文における情報価値が道具目的語構文の容認性を上げていることを主張する。また道具目的語構文とメトニミーとの興味深い類似点についても考察する。

 
・第三発表

 

タイトル:アリュージョンに関する認知言語学的な分析:構文文法と概念ブレンディング理論の接点
発表者:徳渕 樹 (谷口研 D1)
概要:本研究は、学術論文のタイトルにおいて度々用いられる戯曲 Hamlet の「アリュージョン」を認知言語学的な観点から分析することによって、「構文文法理論」と「概念ブレンディング理論」との接合に関する積極的な可能性を模索するものである。結果として、当該の構文 To X or not to X? は、もとのテクストに内在する抽象的な機能が X のスロットを埋めた融合表現の意味極に投射されることで、「X か X でないか?」という単なる選択肢の提示に止まらない「焦点となるような問題の提示」という非合成的な意味を付加的に実現していることが確認された。

 

※ 語用論学会での発表に向けた練習を行います。

 

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