ItouKaoru

職歴

京都大学 非常勤講師
2015年度: 英語I A, B R・L
2016年度: 英語IA WL
京都ノートルダム女子大学 非常勤講師
2015年度: 基礎英語I・II
2016年度: 基礎英語I
大阪医科大学 非常勤講師
2015年度後期: 医学英語
2016年度前期: 医学英語
京都工芸繊維大学 非常勤講師
2016年度前期: Career English Basic, 英語IA, 英語IIA
2016年度後期: Academic English
奈良先端科学技術大学院大学 研究員
2016年10月-

学歴

2006年
京都大学 総合人間学部 入学
2010年
京都大学 総合人間学部 卒業
京都大学大学院 人間・環境学研究科 言語科学講座 修士課程 入学
2012年
京都大学大学院 人間・環境学研究科 言語科学講座 修士課程 修了
京都大学大学院 人間・環境学研究科 言語科学講座 博士課程 進学
2015年
京都大学大学院 人間・環境学研究科 言語科学講座 博士課程 研究指導認定退学

プロジェクト「比喩表現コーパスの構築」

近年ヨーロッパ、特に北イングランドを中心に談話の中のレトリックを対象とした研究が盛んです。また、Vrije Universiteit Amsterdamではメタファーコーパスが作成されました。もちろん自分自身の興味・感心もありますが、レトリック研究者にとっては実例中心の研究を促進することになり、自然言語処理研究者にとっては機械学習のデータとなるという需要があります。現在は理論面からも事務・費用面からも問題が山積していますが、2014年の研究発表の予稿集fileNLP2014予稿集.pdfをご一読いただき、ご興味のある方はメールいただければ幸いです。

研究内容および興味、関心

・レトリック研究について
近年、「コミュニケーション能力」の重要性が社会において高まっています。レトリックはコミュニケーションを円滑に行えるようにする技術の一つです。レトリックは古代ギリシアで、法廷における説得を目的として生まれ、言語表現一般についての技術へとその対象を広げていきました。西洋で言語を用いた表現、説得のための技術という役割を担ってきたレトリックの記述・応用を通じて、現代社会の抱えるコミュニケーション上の問題(特に情報の発信に関わる問題)の解決に貢献していきたいと考えています。

・具体的な研究内容
修士課程では、上に掲げたレトリック研究の一環として、修辞技法のひとつであるオクシモロンについての言語学的記述に取り組んでいます。オクシモロンは矛盾する要素同士を結合する表現技法で、例としては「終わりの始まり」「近くて遠い国」「無知の知」が挙げられます。これらについて認知言語学で用いられている諸概念を基に、意味論的により精緻な記述を行いました。また、修辞的でない表現の分析に用いられる概念を用いて記述を行うことで、一般的な表現と修辞的な表現の共通点と差異の一端を明らかにしました。
最近の研究では、フィギュール(メタファー、メトニミーなどのいわゆる「言葉のあや」)が実際のテクストの中でどのように用いられるかについて関心を持っています。理論的には談話分析、語用論やテクスト言語学からの分析を試みています。フィギュールは文法からの逸脱を大きな特徴としていると言われており、本来聞き手や話し手にとって分かりにくい表現になるはずですが、それらがコミュニケーション上ではある種のプラスの効果(詩的効果など)をもたらします。実際に用いられたテクストを研究対象とし、理論に基づいた記述を行うことで、フィギュールをより効果的に、相手に分かりやすく用いるにはどうすればよいか、という問題について取り組んでいます。

・理論言語学の社会還元
理論言語学という分野は、その名の通り言語を説明するための理論を追求する分野であるため、社会に対し直接的に、実践的な知識を提供する能力は高くありません。そのため、「そんなことやって何の役に立つの?」という疑問を持たれることもしばしばです。
このような問いに対して、「これまでの言語学の知見が現在の実社会ににどう活かされているか」「現在の理論言語学の研究は現在の隣接分野にどう影響を及ぼし、どのような経路で社会に還元されていくか」について考え、説明していく姿勢で研究しています。特に後者の観点について、人工知能や自然言語処理と第二言語習得に応用されることを見据え、近年は一つのテクスト中で、ある指示対象がフィギュールを用いてどのように言い換えられるかを研究しています。メタファーやメトニミーは、語彙が字義通りでない意味で用いられるケースの特殊例ですが、どのような環境に置かれた場合に語彙が「字義通りでない」意味だと認識されるか、また、字義通りでない解釈の候補は複数存在するのに、どのようにして複数の人がある程度一定した解釈にたどり着くのかということを研究しています。このような研究を通して、表層に現れる語彙以上の情報を得るためのヒントを提供し、それが文書要約や語義曖昧性解消に応用されることを願っています。第二言語習得については英語におけるプレゼンテーションや文書作成で、どのような言い換えが好まれるかということをデータと理論の双方から示していきたいと考えています。

連絡先

ito_kaoru-at-outlook.com
(-at-を@に変換してください。)

研究業績

【学位論文】

  1. 伊藤薫.「オクシモロンの修辞的機能に関する認知言語学的考察」, 京都大学大学院 人間・環境学研究科 修士学位論文.(2012年)

【研究論文】
2012年

  1. 伊藤薫. 2012. 「否定とレトリックについての一考察 : 『XもYもない』の用法について」,『言語科学論集 第18号』, pp. 27-46, 京都大学大学院 人間・環境学研究科.

2013年

  1. 伊藤薫. 2013a.「オクシモロンにおける矛盾の解決について―ドメインの観点から」, 児玉一宏・小山哲春(編)『山梨正明教授退官記念論文集 言語の創発と身体性』, pp. 53-66, 東京:ひつじ書房
  2. 伊藤薫. 2013b.「Opposed terms を基にしたオクシモロンの分類」,『日本認知言語学会論文集 第13巻』, pp. 409-417, 日本認知言語学会.

2014年

  1. Ito, Kaoru. 2014. Metaphor and Consistency in Text: A Corpus-based Study. Papers in Linguistic Science, 20. Department of Linguistic Science, Graduate School of Human and Environmental Studies. 83-99.

2015年

  1. 伊藤薫. 2015 「直喩再考 ―”like”の機能と様々な修辞技法の関連について―」,『日本認知言語学会論文集』第15巻, pp. 244-256, 日本認知言語学会.

2016年

  1. 伊藤薫. 2016a 「修辞表現と意味の衝突の解決 —詳細な記述方法の確立に向けての試論—」,『大阪医科大学紀要 人文研究』第46・47号 pp. 28-50. 大阪医科大学.
  2. 伊藤薫. 2016b 「文脈が修辞表現の理解に及ぼす影響」,山梨正明 他(編)『認知言語学論考』No.13, pp. 345-372.

【研究発表】
2012年

  1. 伊藤薫.「オクシモロンにおける反義のプロトタイプ性について」, 言語処理学会 第18回年次大会, 広島市立大学, 2012年3月14日.
    (言語処理学会 第18回年次大会 発表論文集 pp. 38-41)
  2. 伊藤薫.「Opposed termsを基にしたオクシモロンの分類」, 日本認知言語学会 第13回全国大会, 大東文化大学, 2012年9月9日.
    (日本認知言語学会 第13回大会予稿集 pp. 219-222)

2013年

  1. 伊藤薫.「文脈が修辞表現の理解に 及ぼす影響―アレゴリーと異義兼用を中心に」, 言語科学会 第15回年次国際大会, 活水女子大学, 2013年6月28日.

2014年

  1. 伊藤薫.「比喩表現コーパスの構築と問題点 -言語学の立場から-」, 言語処理学会第20回年次大会, 北海道大学, 2014年3月18日
  2. 伊藤薫.「直喩再考 ―”like”の機能と様々な修辞技法の関連について―」, 日本認知言語学会 第15回全国大会, 慶應義塾大学, 2014年日吉キャンパス, 9月21日.
    (日本認知言語学会 第15回大会予稿集 pp. 177-180)

2015年

  1. 羽藤由美,竹井智子,Healy, Sandra,神澤克徳,伊藤薫. 「大学入試への英語スピーキングテスト導入:CBT方式によるパイロットテストの検証」, 大学英語教育学会 第54回国際大会, 鹿児島大学, 2015年8月.

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