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*研究内容 [#b29c0f6e] *研究内容 [#b29c0f6e]
 +【研究の関心】~
 +・語と語の組み合わせから得られる解釈のコンテクスト依存性~
 +・推論におけるインプット (i.e. コード化された意味) ~
 +・認知意味論 (概念ブレンディング理論、フレーム意味論、プロトタイプ意味論) と関連性理論 (語彙語用論) の接点~
 +【現在取組んでいるもの】~
 +・一次複合名詞 (NN; 影山 1999) の意味解釈~
 +・慣習的に用いられる複合表現 (e.g. イディオム、構文) におけるコード化された概念~
 +
 +【これまでの研究】~
 +・卒論ではスウェーデン語の動詞 ''övertala'' (英: persuade) について扱い、''övertala NP1 NP2'' という構文に着目しました (övertala NP1 NP2は概略「NP1にNP2に関する事象を行うように説得する」という解釈が得られます。övertala NP1 att VP (persuade NP1 to VP)という用法が最も使われます) 。コーパス調査の結果、NP2に入る名詞は事象を表す名詞だけでなく、モノを表す名詞も大いに含まれることが判明しました。この事実から、NP2がモノを表す場合「それに関する事象」とは何かが研究の問題になると考えました。解決策として、Pustejovsky (1995) の''生成語彙論'' (GLT) を用いてövertalaがNP2にタイプ強制 (coersion) を行うとの想定のもと、NP2のクオリア構造を記述しました。
 +
 +・修論では''「文字通り」''という標識の手続的意味に関する考察を行いました。~
 +「文字通り」の興味深い点は、後続表現の字義的意味を導く用法だけでなく、比喩的な意味を強調する用法・メタ言語的な用法 (e.g.「腰」は文字通り身体の要です) といった、非常に多様な用法が観察されることと、「文字通り+X」のコロケーションではXの解釈を捉えきれない (i.e. 文脈によって、同じXの解釈が変動する) ことに求められます。まず、「文字通り」の機能を規定する方法として (i)すべての用法を独立した機能だと認定し、「文字通り_1」「文字通り_2」... と記述するアプローチ (ii)すべての用法に一貫する要素のみを機能として認定し、各用法は実際の文脈における推論から生じると考えるアプローチ (iii)「文字通り+X」のコロケーションを重視し、「文字通り」自体に機能を押し付けないアプローチ の3つを検討しました。~
 +本研究では(ii)を選び、''関連性理論'' (Sperber & Wilson 1995) の枠組みのもと、「文字通り」を「後続内容をメタ表示せよ」と聞き手に仕向けるような''手続き的意味'' (Blakemore 2002) として規定しました。そして、簡素な手続き的意味から具体的な用法へ至る推論のステップを関連性理論における発話解釈プロセスによって説明しました。
*研究論文 [#b29c0f6e] *研究論文 [#b29c0f6e]


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