5: 2017-04-17 (Mon) 15:53:07 tinoue source 6: 2017-04-17 (Mon) 21:14:38 tinoue source
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*経歴 [#b29c0f6e] *経歴 [#b29c0f6e]
 +井上 拓也(いのうえ たくや)北海道札幌市出身
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''2014年4月'' 京都大学大学院 人間・環境学研究科 言語科学講座 修士課程 入学~ ''2014年4月'' 京都大学大学院 人間・環境学研究科 言語科学講座 修士課程 入学~
''2016年3月'' 京都大学大学院 人間・環境学研究科 言語科学講座 修士課程 修了~ ''2016年3月'' 京都大学大学院 人間・環境学研究科 言語科学講座 修士課程 修了~
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*研究内容 [#b29c0f6e] *研究内容 [#b29c0f6e]
-"生態学的観点からの意味論・統語論研究"+''生態学的観点からの意味論・統語論研究'' 
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 +言語についてのモデル(言語観)は幾つかありますが,多くの言語学者は「言語は(思考のための)内的な表象である」あるいは「言語は参与者間の心(頭の中)にある意味や情報を伝達する道具である」という前提や,個人内での情報処理プロセスを(半ば暗黙のうちに)想定していると言えます. 
 + 
 +Langackerをはじめとする認知言語学は環境と身体を考慮した認知科学のパラダイムであるとしていますが,その基盤である認知能力はあくまで個人の内的なものとして考えられています.これは,心の機能や認知を社会的に構成されうるものと捉える社会学(cf. Ryle 1949; Coulter 1979)や談話分析,あるいは認知の分散性(Hutchins 1995)を唱える学問領域とは対立するものと言えます. 
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 +一方で,Gibson(1979)の「アフォーダンス理論」から始まる生態心理学は,情報処理とはみなさず,情報や知識に対しての全く異なるアプローチであると言えます.そこでは「言語は,環境中の情報(生態学的な意味や価値)を特定し,共有するための手段である」(Reed 1996: 115)というモデルが提示されています. 
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 +しかし,私は単純に「言語は話者の<見え>を直接反映している」とする心理主義・認知主義的立場でもなく,また「言語はアフォーダンスを直接指示する」とする因果論的立場でもなく,「言語はアフォーダンスを発見しやすくするために環境に施されたデザイン=シグニファイア(signifier, Norman 2010)である(井上 2016: 41)」という観点から,ベースとプロファイルなどの認知的際立ちに関する議論や参照点構造といった認知言語学における記述方法を取り入れつつも,その意味観をシフトさせ,言語行為によって示される生態学的意味(実用主義的な意味)を中心に据え,さらに語の使い分けや語順などといった形式(統語論的な側面)に関する生態学的な動機づけを考察していきたいと考えています. 
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 +2014年に提出した北海道方言に関する卒業論文では,「ラサル構文」が持つ意味を「被動作主(鉛筆,ボタン等)が持つアフォーダンスの知覚の共有」であるとし,その形式の動機付けについて「被動作主をより認知的に際立たせるために動作主が省略される」と説明しています. 
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 +また,2016年に提出した修士論文では,アイヌ語において定表現(definite expression)であるとされる「場所表現」(中川 1984; 井筒2006等)について,特に場所名詞や地名がその土地のアフォーダンス知覚を特定させるための表現であり,その土地での行為可能性に基づく土地の利用可能性によって区別するという点で定表現(definite expression)となるということを論じました.この議論で得られた知見は,唯一無二でありかつ経験と分かちがたい場所の持つ「場所性(placeness, Relph 1977; Tuan 1979)」の議論や,オギュスタン・ベルクの「風土(milieu)」の議論とも整合するのではないかと考えています. 
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 +''アイヌ語の言語復興に貢献するための理論言語学的基盤の構築'' 
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 +言語復興に対して理論的な貢献は数多く行われていますが,単なる記述だけではなく,当該言語の創造性を復活させるにはどうすれば良いかという問題意識も必要となります.これは単に言語内理論のだけではなく,当該言語を用いるコミュニティの生活やそれを取り巻く環境も大いに関わってきます. 
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 +生態学的な観点からすれば,言語の研究の関心は,「話者の心がどうであったか」ということよりも「話者が環境の中でどのように実用的な意味を特定し,共有していたか」ということになります.つまり,言語に関する知識の集積だけではなく,生態学的言語研究を通して,言語資源としての知覚=行為の可能性を再構築することこそが,言語復興にとって理論的な貢献をするための方策と言えるのではないでしょうか.
-Reed(1996) +例えば,マオリ語の伝統を受け継ぐ言語習得法であるテ・アタアランギ法は,文法や意味の知識を教え込むのではなく,「マオリ語を話す場の共有」が最優先であり,マオリ語のみによる差し言葉によって自然に言語を習得する支援をするというものです.アイヌ語においてもこうした場の創造や共有が二風谷を中心にますます活発に行われていますが,アイヌ以外の住民に対しても相互理解の観点から生態学的なアプローチはさらに説得力のある教授法として必要となってくると考えています.
-アイヌ語の言語復興に貢献するための理論言語学的基盤の構築+
*学位論文 [#b29c0f6e] *学位論文 [#b29c0f6e]
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2016年6月9日 「認知科学の研究観」~ 2016年6月9日 「認知科学の研究観」~
2016年6月23日 「アイヌ語の場所表現についての生態学的研究」~ 2016年6月23日 「アイヌ語の場所表現についての生態学的研究」~
 +2016年9月12日 第6回東西交流会 論文レビュー "A. Kravchenko (2012): from the Language Myth to the Ecology of Languaging"~


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