1月25日 フォーラム

日時:1月25日(木)15:00〜

場所:総合人間学部棟 1107 号室および Zoom

(参加を希望される方は taniguchi.info_at_gmail.com までご連絡下さい (_at_→@) )

タイトル:Frege-Geach Contextを生きる言語行為──条件文は主張の効力を「打ち消す」のか──

発表者:佐藤 雅也 (谷口研 D3)
キーワード:Frege-Geach Point, illocutionary force, conditionals, the unity of the proposition, force/content distinction
概要:「もしもコインが表なら、明日は外出しない」と言うとき、コインが表であるということを主張しているわけではない。にも関わらず、単に「コインが表である」と主張するときと同じように、コインが表であるという事柄についての何か、伝統的に命題と呼ばれてきたものを含むものではある (cf. Geach, 1965, p. 449)。素朴な推論に頼るのであれば、(i) 条件文には主張を主張たらしめるforceが存在せず、(ii) 命題は含まれている、と結論付けられる。近年、これら2つのテーゼは端的に矛盾するものであると指摘されている。Hanks (2015) が強調するように、命題は主張のforceが生み出すものである。このパラドックスを解消しようと試みるHanksの説明によると、条件文は「本来あるはずの」主張のforceをキャンセルするものであるという。しかし、Reiland (2012) が指摘するように、結局forceがキャンセルされてしまうのであれば、命題が条件文に残り続けている理由を説明できていないことになる。より有望なものとしては、「forceを伴う行為全体にはたらきかける条件化を可能にするのが条件文であり、それによりforceを含む行為へのコミットメントが保留になる」というSchmitz (2022) の理論があげられる。本発表では、基本的にはキャンセルの概念を持ち出すことを避けるSchmitzの提案を支持しつつも、擬似条件文を含んだいくらかの言語現象の説明が困難になることを指摘し、ある程度の理論の改訂が必要であることを明らかにしたい。

参考文献

Geach, P. T. 1965. Assertion. The Philosophical Review 74 (4): 449–65.

Hanks, P. 2015. Propositional Content. Oxford: Oxford University Press.

Reiland, I. 2012. Propositional Attitudes and Mental Acts. Thought: A Journal of Philosophy 1 (3): 239–45.

Schmitz, M. 2022. Force, Content and the Varieties of Unity. In Mras, Gabriele, and Michael Schmitz (eds), Force, Content and the Unity of the Proposition, 71–90. New York: Routledge.

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